体幹の安定は運動時だけでなく、日常生活でも非常に重要
‘’体幹が重要‘’とスポーツ選手が体幹トレーニングを実践している姿や、‘’体幹を鍛えよう‘’という内容の特集を、テレビや雑誌・インターネットなどで目にすることがよくあります。
また、最近流行っているヨガやピラティスなど、体幹を中心としたインナーマッスルを主に鍛えるエクササイズも多く見受けられます。
何かと話題となる ’’体幹’’ ですが、鍛えた方がいい、強い方がいいということは多くの人が思うことでしょう。
では体幹を鍛えることで、どのようなメリットがあるのでしょうか?
そもそも体幹とは何でしょうか?
どのように鍛えればいいのでしょうか?
今回はそんな体幹とそのトレーニングについてまとめてみました。
体幹とは
「体幹」とは、頭と手足を除いた胴体部分全体を指し、具体的には、お腹・腰回り・お尻・胸・背中などが体幹に含まれます。
体幹を支える筋肉
体幹は非常に多くの筋肉によって支えられています。
よく、体幹=インナーマッスルと混同されることが多いのですが、実際はアウターマッスルも体幹には関わっており、インナーマッスルとアウターマッスルは共に協力して体幹を支えています。
以下はその一部です。
◯鎖骨下筋(さこつかきん)
鎖骨を前下方に引き、胸鎖関節を安定させ、肩関節の動きをサポートします。
◯小胸筋(しょうきょうきん)
肩甲骨を前方・下方に引き、内旋させ、呼吸の補助筋としても機能します。
〇肋間筋(ろっかんきん)
肋骨を動かし、胸郭を広げたり狭めたりして呼吸を補助します。
〇上後鋸筋(じょうこうきょきん)
肋骨を引き上げ、呼吸を補助し、胸郭の安定に関与します。
〇下後鋸筋(かこうきょきん)
肋骨を引き下げ、呼気を補助し、胸郭の安定に関与します。
〇前鋸筋(ぜんきょきん)
肩甲骨の上方回旋、前方移動、肋骨の挙上、肩甲骨の安定などに関与します。
〇菱形筋(りょうけいきん)
肩甲骨を内転、挙上、下方回旋させ、肩甲骨の安定と姿勢保持に関与します。
〇多裂筋(たれつきん)
背骨に沿って走り、脊椎を安定させる筋肉です。
〇回旋筋(かいせんきん)
脊柱を回旋させ、姿勢を安定させる役割を持ちます。
〇腹横筋(ふくおうきん)
腹部の最も深い部分に位置します。腹圧を維持し体幹を安定させる役割を持ちます。
〇内腹斜筋(ないふくしゃきん)
外腹斜筋の内側に位置し、同様に体をひねる動きや体幹の安定に寄与します。
〇横隔膜(おうかくまく)
呼吸に関与する筋肉で、肋骨の下部に位置しています。
〇大腰筋(だいようきん)
股関節の屈曲、外旋、体幹の安定、姿勢保持に関与します。
〇腰方形筋(ようほうけいきん)
体幹の側屈、伸展、骨盤の引き上げ、体幹の安定に関与します。
〇骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)
骨盤の底に位置し、内臓を支える役割を持ちます。
体幹に関わるアウターマッスルの一例
〇大胸筋(だいきょうきん)
胸の筋肉で、主に腕を前に押し出す動作に関与します。
〇僧帽筋(そうぼうきん)
肩甲骨の動きと安定性を調整し、首や肩の動作をサポートします。
〇大円筋(だいえんきん)
肩関節の伸展、内旋、内転、体幹の引き上げなどに関与します。
〇広背筋(こうはいきん)
背中の広い部分を占める筋肉で、主に腕を引く動作に関与します。
〇脊柱起立筋群(せきちゅうきりつきんぐん)
背骨を支え、姿勢を維持し、体幹の動きを助けます。
〇腹直筋(ふくちょくきん)
お腹の表層部を縦に走る筋肉で、脊椎を前屈させるときに働きます。
〇外腹斜筋(がいふくしゃきん)
脇腹の筋肉で、体をひねる動きや体幹を安定させるときに働きます。
〇臀筋群(でんきんぐん)
股関節の伸展、外転、内旋を助け、歩行や姿勢の安定をサポートします。
紹介したものが全てではありませんが、このように多くの筋肉が互いに協力して体幹を支えています。
体幹を支える筋肉の役割
体幹を支える筋肉の主な役割
- 姿勢の維持: 正しい姿勢を保ちます。
- 運動の安定: 体のバランスをとり、動作に安定感を与えます。
- 内臓の保護: 内臓を保護すると同時に、支えて正しい位置にとどめます。
- 動力の伝達: 体幹を安定させることにより、手足の力を効率的に伝えることができます。
体幹を鍛えることで得られるメリット
体幹はスポーツだけではなく、日常生活を快適に送る上でも極めて重要な部位であり、体幹を鍛えることで多くのメリットが得られます。
- 良い姿勢・美しい姿勢を保つ
- 体幹の筋肉は、姿勢を安定させるために非常に重要です。体幹の筋肉が強化されると、骨盤や背骨がしっかり支えられるため、正しい姿勢を保ちやすくなります。逆に体幹を支える筋肉が衰えると正しい姿勢を保つのが難しくなり、猫背・巻き肩・反り腰・スウェイバック(骨盤が前方に傾き、上半身が後方に倒れている状態)・側弯症など様々な弊害を起こす原因となります。
- 肩こりや腰痛の予防・改善
- 人間は二足歩行のため、上半身の重みを支えるため腰に大きな負担がかかります。また、発達した脳を支えるため肩や首にも大きな負担がかかります。これらの理由により、姿勢の崩れは肩こりや腰痛を起こす直接的な原因となります。体幹を鍛え、姿勢を矯正し、正しい姿勢をキープできるようになることで、首や肩、腰にかかる負担を軽減し、肩こりや腰痛の予防や改善に繋がることが期待できます。
- 内臓を保護し支える
- 体幹のインナーマッスル(腹横筋、多裂筋、横隔膜、骨盤底筋など)は、腹腔を囲んで内臓を保護し支えています。これらの筋肉を鍛えることで、内臓が本来あるべき正しい位置に安定して保持されるようになります。体幹の筋肉が弱ければ、内臓が下へ垂れる、いわいる内臓下垂と呼ばれる状態になりやすくなります。内臓下垂の状態となると、様々な健康上のトラブルが起きる場合があります。
- 体型維持
- ウエスト部分を引き締めることにより「くびれ」を作ったり、下腹部を引き締めることでぽっこりお腹のような下腹のたるみを抑える効果が期待できます。
- 運動時のパフォーマンス向上
- 体軸が安定すると、全身の筋肉をスムーズかつ効率的に動かすことができ、基本的な運動パフォーマンスの向上が期待できます。また、体のバランスを崩したときなども、崩れた体勢を素早く立て直すことや、当たり負けをしにくくなるなど、リカバリー面のパフォーマンスの向上も期待できます。
- 日常的な基本動作のサポート
- 日常生活においても、体幹の筋肉は「立つ、座る、歩く、横になる、寝返りを打つ」など、基本的な動作の多くで使用します。体幹の筋肉の安定性が増すと、身体を無理なく楽に動かせるようになります。特に年齢が進むと筋力の低下により歩行機能や生活機能に支障が出やすくなります。若いうちから体幹の筋肉を鍛える習慣を作っておくと、年齢による衰えを遅らせることができます。後々若々しく健康的な生活を送るための手助けとなります。日常生活の質を維持・向上させるためにも重要です。
- ケガの予防
- 体幹を支える筋肉の強化により、身体の安定性が増します。体幹が強化されることで、運動時や日常生活でも体勢の崩れによる怪我を予防する効果があります。例えば、ぎっくり腰は思わぬ体勢の崩れから引き起こされることもあります。また、スポーツや筋トレでも体勢が崩れると怪我のリスクが大きくなります。また、年を重ねると体幹の力が弱くなり、転倒など引き起こしやすくなります。
- 疲れにくい身体になる
- 身体の軸が安定することで全身の筋肉を効率よく動かすことができるようになるため、疲れにくくなります。また、体幹を支える筋肉は内臓も支える役割も果たすため、内臓疲労などの軽減も期待できます。
他にも体幹トレーニングのみならず運動全般に言えるメリットとして
・運動不足の解消
・基礎代謝の向上により太りにくく痩せやすい体質になる
・健康促進
・ライフスタイルの改善
・ストレス解消
・幸福度の増加(ポジティブになる・自信がつく)
・アンチエイジング効果
・睡眠の質向上
・生活習慣の改善
・集中力が高まる など
多くのメリットが期待できます。
体幹トレーニング
体幹を支える筋肉を鍛えるトレーニングを「体幹トレーニング」と言います。
体幹トレーニングと言えば、プランクのような動かず一定時間同じ体勢をキープする静的トレーニング(アイソメトリックトレーニング)を思い浮かべる方も多いかと思いますが、クランチ(腹筋)やバックエクステンション(背筋)のような動作を伴う動的トレーニング(アイソトニックトレーニング)も有益な体幹のトレーニングとなります。
体幹を鍛える静的トレーニング(アイソメトリックトレーニング)の一例

左:フロントプランク 右:サイドプランク
体幹を鍛える動的トレーニング(アイソトニックトレーニング)の一例

左:クランチ 右:バックエクステンション
では、体幹トレーニングにおける静的トレーニング(アイソメトリックトレーニング)と動的トレーニング(アイソトニックトレーニング)のメリット・デメリットとは何でしょうか?
体幹トレーニングにおける静的トレーニングのメリット
- コアの強化: 腹筋、背筋、骨盤底筋などの体幹部の深層筋群(インナーマッスル)を効率的に鍛えることができるといわれています。
- 姿勢の改善: 体勢を一定時間キープするトレーニングの特性上、正しい姿勢を保つための姿勢改善効果が高いといわれます。
- 腰痛や肩こりの予防・改善: 姿勢を改善することにより、腰痛や肩こりの予防や軽減に繋がります。
- 全身の安定: 体のバランスや安定性が向上し、スポーツや日常生活での動きがスムーズになります。
- 筋持久力の向上: 特定の筋肉や筋群を長時間にわたって緊張させることで、筋持久力を向上させることが期待できます。
- 関節への負担が少ない: 動きが少ないため、関節にかかる負担が少なく、怪我のリスクを軽減できる可能性があります。
- 怪我のリスクが低い: 過度な動きがないため、筋肉や腱を損傷するリスクが少なく、安全にトレーニングを行うことができます。
- 精神的な集中力が高まる: 静的トレーニングは適正な姿勢を一定時間保つことを要求されるため、集中力やメンタルの強化に繋がります。
体幹トレーニングにおける静的トレーニングのデメリット
- 動的な動きの不足: 静的トレーニングは動きを伴わないため、日常生活やスポーツで必要とされるダイナミックな動作のトレーニングとしては不十分といえます。
- 持続的負荷へのストレス: 長時間同じ姿勢をキープするため、腰や首、関節や筋肉に過度なストレスがかかることがあります。特に無理をして長い時間トレーニングを続けると、怪我の原因となることもあります。
- フォームの維持が難しい: 正しいフォームを保つことが難しく、誤った姿勢で行うと効果が半減するばかりか、怪我の原因となることもあります。
- 心肺機能の向上には不向き: 静的トレーニングでは心拍数や呼吸が大きく変わらないため、心肺機能の向上はあまり期待できません。心肺機能を高めるためには有酸素運動と組み合わせることが推奨されます。
体幹トレーニングにおける動的トレーニングのメリット
- 筋力強化・筋肥大に有利: 動的トレーニングは筋力強化や筋肥大に有利に働きます。筋肉の成長に効果的です。
- スポーツパフォーマンスの向上: スポーツや日常生活での動きを強化するため、実際のパフォーマンス向上に直結します。
- 心肺機能の向上: 動的トレーニングでは心拍数が上がりやすく、心肺機能を強化させる効果があります。
- 協調性とバランスの向上: 動的な動きを通じて、筋肉間の協調性と体のバランス感覚が向上します。
- カロリー消費: エネルギー消費が高く、カロリーを効果的に燃焼します。また筋肉量が増えることにより基礎代謝が上がります。体脂肪の減少や体重管理に役立ちます。
- 柔軟性の向上: 動的ストレッチを含むトレーニングにより、身体の柔軟性が向上し、怪我のリスクを軽減できます。
体幹トレーニングにおける動的トレーニングのデメリット
- 怪我のリスク: 動的トレーニングは体の動きを伴うため、不適切なフォームや過度な負荷で行うと筋肉や関節に負担がかかり、怪我をするリスクが高まります。
- 正確なフォームが求められる: 動的トレーニングに限って言えることではありませんが、効果的にトレーニングを行うためには、正確なフォームが求められます。誤ったフォームで行うと、効果が減少するだけでなく、体に負荷をかけることになります。
- 筋肉の疲労: 動的トレーニングは連続して動くことが多いため、筋肉の疲労が蓄積しやすく、過度な疲労が体に負担をかけることがあります。
体幹トレーニングを行う場合は、これらのメリット・デメリットを踏まえたうえで、静的トレーニング(アイソメトリックトレーニング)と動的トレーニング(アイソトニックトレーニング)を組み合わせてトレーニングプランを立て、バランスよく総合的に体を鍛えることをおすすめします。
コメント