肩関節は、多方向に動かせるように非常に複雑な構造をしています。
そのため、肩のトレーニングは適切なフォームで行うことが難しく、初心者はもちろん中級者以上の方にとっても鍛える難易度が高い場所といえます。
適切なフォームでトレーニングを行わなければ、目的の筋肉に適切な負荷を与えられず、不適切な動作は怪我のリスクを高めます。
実際に、トレーニングを行っても「なかなか肩に効かせられない・成長しない」と感じることはよくある話です。
そのような場合は、トレーニングが適切なフォームで行えていない可能性があります。
肩のトレーニングでは、特にフォームの正確さを最優先として行い、重量はフォームが保てる範囲内で設定することをお勧めします。
肩の怪我は非常に多いので、特に注意するようにしましょう。
肩の解剖
肩関節
少し詳しく説明すると
第一肩関節(肩甲上腕関節)は肩甲骨と上腕骨の接合部分であり、肩甲骨の関節窩と上腕骨頭が形成する関節です。
回旋筋腱板(ローテーターカフ)と呼ばれる4つの筋腱(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)が肩甲骨に張りついていて、肩関節の安定性を保つ役割を果たします。
さらに広義の肩関節には肩甲上腕関節(第一肩関節)・肩鎖関節・胸鎖関節・肩甲胸郭関節・肩甲骨と鎖骨の接合部分の5つの関節が含まれ、肩の構造と運動に重要な役割を果たしています。
屈曲、伸展、外転、内転、外旋、内旋の6方向に加え、これらを複合した運動が可能です。
つまりは
肩関節は、腕を自由に動かすため非常に重要な関節であり、その構造と機能はかなり複雑です。
肩関節は上腕骨頭が肩甲窩に浅くハマっている関節であり、非常に大きな可動域を持っています。
その可動性の高さゆえに不安定で、靱帯損傷や脱臼などの怪我が生じやすい関節であり、トレーニングを行う際には適切な怪我の予防策が必要となります。
三角筋
三角筋は肩を覆うように付き、肩関節の動作に重要な役割を果たしています。
鎖骨・肩甲骨と上腕骨をつなぐ筋肉で、前部、中部、後部の3つに分けられます。

三角筋の起始・停止とその働き
筋肉の働きを知るときは、その起始と停止を覚えると理解しやすくなります。
三角筋前部

起始:鎖骨の外側1/3
停止:上腕骨の中部外側(三角筋粗面)
三角筋前部の働き
三角筋前部のメインの動きは肩の屈曲です。
肩を垂直に降ろした位置から前側に持ち上げる肩の動き(肩関節屈曲)。
腕を真横に水平に上げた位置から体の正面方向へ動かす肩の動き(肩関節水平屈曲)。
腕を内側に回していく内旋(肩関節内旋)。
肩の厚みが増し、ボリュームと立体感のあるシルエットを得ることができます。
三角筋中部

起始:肩甲骨の肩峰
停止:上腕骨の中部外側(三角筋粗面)
三角筋中部の働き
腕を垂直に降ろした位置から外側に向かって開いていく腕の動き(肩関節外転)。
三角筋中部を鍛えることで側面に筋肉がつき肩幅が広がり、逆三角形の美しいシルエットを目指すことができます。
三角筋後部

起始:肩甲骨の肩甲棘
停止:上腕骨の中部外側にある三角筋粗面
三角筋後部の働き
三角筋後部のメインの動きは肩の伸展です。
腕を垂直に降ろした位置から後方に引く動作(肩関節伸展)。
腕を真横に水平に上げた位置から後方に引いていく動き(肩関節水平伸展)。
腕を外側に回していく動き(肩関節外旋)。
三角筋後部は前部や中部と比べて、目立ちにくい筋肉といえます。
しかし、後部もしっかり鍛えることでバランスの取れた理想的な三角筋を手に入れることができます。
肩を鍛えるメリット
大胸筋を鍛えることには多くの利点がありますが、その中から3つほど挙げてみます。
1.身体のラインを整える
2.基礎代謝が上がり、太りにくい体質になる
3.姿勢が改善される
1.身体のラインを整える
三角筋を鍛えることで体全体のシルエットに大きな変化をもたらし、とくに上半身の印象を引き締めることができます。
男性は肩の筋肉をつけることで肩の丸みやボリュームが増し、肩幅が広がることで逆三角形のボディラインを強調することができます。
肩の筋肉である三角筋を鍛えると、肩周りが広がり、上半身ががっしりと見えます。
逆三角形の体型は、男性の理想的なシルエットとも言えます。
女性は肩の筋肉を引き締めるように鍛えると、腕の付け根が引き締まります。
肩に連続する首筋・背中・腕へのバランスをとり、シルエットを整えることができます。
Tシャツやノースリーブを美しく着こなしたい方にとって、重要なポイントです。
2.基礎代謝が上がり、太りにくい体質になる
意外かもしれませんが、肩の筋肉(三角筋)は上半身の中では最も大きな筋肉となります。
大きな筋肉ほどトレーニングによって筋肉が増えやすく、筋肉が多いほど基礎代謝(消費カロリー)が多くなります。
これは、ダイエットや健康にとって有利にとなります。
3.姿勢が改善される
肩や背中の筋肉が衰えると、肩が前に巻いてしまい、猫背や巻き肩になりやすくなります。
肩の筋肉を鍛えると、姿勢を正しく維持する効果があります。
姿勢の悪さから発生する肩こりなどの予防や症状の緩和にも効果が期待できます。
このように、肩を鍛えることには、見た目や健康にとって多くのメリットがあります。
また、僧帽筋も肩にかかわる筋肉といえますが、背中のトレーニングで解説します。
三角筋をバランスよく鍛える
三角筋をバランスよく鍛えるためには、三角筋の3つの部位(前部・中部・後部)を意識的にそれぞれバランスよく鍛え分ける必要があります。
各部位へのアプローチを分ける
肩の筋トレには、三角筋の各部位をターゲットにした種目があります。
- 前部(三角筋前部)
- 種目例:ダンベルフロントレイズ、バーベルショルダープレス、アーノルドプレスなど
- 三角筋前部はフロントレイズのようにピンポイントで狙うアイソレーション種目もありますが、プレス系種目でも使用されるため、一般的なトレーニングを行っていれば刺激が入りやすい部位といえます。
- 中部(三角筋中部)
- 種目例:サイドレイズ、インクラインサイドレイズ、アップライトロウなど
- 後部(三角筋後部)
- 種目例:リアレイズ(ダンベル・ケーブル)、ライイングリアレイズ、フェイスプル、リアデルトマシンなど
- 三角筋前部に比べ、中部・後部は意識してトレーニングを行わないと鍛え残しを起こしやすい部位です。正確なフォームを心がけ、トレーニングを計画的に追加する必要があります。
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