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腕をターゲットとした自重トレーニング

全て

腕のトレーニングは、大きく分けて「上腕二頭筋」「上腕三頭筋」「前腕筋群」の3つの部位に分けて鍛えることが一般的です。
今回は、上腕に関しては、自宅で特別な器具を使わずに行える自重トレーニングを⋯。
また、前腕筋群に関しては、簡単に準備できる道具の使用を含めた、ご自宅でできるトレーニングという括りで、いくつかトレーニングを紹介したいと思います。
なお、懸垂は懸垂バーなどが必要になるため、今回は省いています。


上腕二頭筋は、肘関節屈曲時に負荷を加えることで鍛えることができます。

1.パームカール

パームカールは、片方の手で反対の手を抑えることで負荷を与えるトレーニング法です。
負荷のコントロールが行いやすいため安全性が高く、どこでもできるという利点があります。

方法

  1. 片方の手でもう片方の手首を押さえます。
  2. 肘を支点にして押さえられている腕を曲げます。
  3. 力を入れた状態をキープしながら、ゆっくりと腕を曲げ伸ばしすることで、上腕二頭筋に負荷をかけます。
  4. 反対の腕も同様に行います。

パームカールのコツ

  1. 手首を内側に巻き込むように力を入れる
    • 上腕二頭筋の収縮率を高めるために、手首を内側に巻き込むように行いましょう。
      小指を肩に近づけるイメージで前腕を回外させながら力を入れると、上腕二頭筋に刺激が入りやすくなります。
  2. 負荷をかける方の肘は体の横に固定する
    • 肘の位置が動くと、上腕二頭筋を含む屈曲筋群に適切な負荷がかかりにくい場合があります。
      負荷をしっかりとかけるために、肘を体の横に固定しましょう。
  3. 押さえる場所は手首
    • 手首より先端(指先側)を押さえると、手首が反って痛める可能性があります。
      また、押さえる位置が不安定だと、適切に負荷をかけることが難しくなります。
      安定した手首を支点として、負荷をかけるようにしましょう。

2.インバーテッドロウ(斜め懸垂)

肩や背中の自重トレーニングでもご紹介したインバーテッドロウ(ななめ懸垂)は、上腕二頭筋にも刺激を加えることができます
自宅でもテーブルなどを利用して行える場合がありますので、今回もご紹介しておきます。

方法

ー 上腕二頭筋をターゲットとしたインバーテッドロウ ー

  1. 上腕二頭筋狙いのインバーテッドロウの場合は、バーを逆手でつかみ手の幅は狭く設定します。
    ※ご自宅であればテーブルなどを利用してもできますが、必ず安定性や強度を確認の上行ってください。
  2. 足を前に伸ばして体を斜めに保ちます。
  3. 身体をまっすぐに保ちながら、腕の力で体を引き上げます。
  4. 肘関節を限界まで屈曲させたら、一度ストップさせる意識でしっかりと腕の筋肉の収縮を感じるようにしましょう。
  5. 重力に逆らうように、ゆっくりと元の位置に戻します。

負荷の調整

負荷を軽くする場合

負荷を軽くする場合は、立位に近くなるほど負荷は軽くなります。
高さが調整できるスミスマシンのバーなどを利用する場合は負荷の調整が行いやすいと思いますが、高さが調整できない場合はゴムバンドを利用する方法(バンドアシスト)もあります。
また、足の位置が手の位置に近ければ負荷が軽くなるため、膝を曲げて立てるようにして行うと負荷を軽くすることができます。

負荷を高くする場合

身体が床と水平に近くなるほど、足側の支える場所が手から離れるほど負荷が強くなります。
自宅でテーブルを利用して行う場合は、椅子などの上に両足を乗せて行うといいでしょう。

フォームを崩さない範囲で、自分の筋力に合わせて負荷を調整しましょう。

インバーテッドロウのコツ

ー 上腕二頭筋をターゲットとした場合 ー

インバーテッドロウは主に体の背面、特に背中の筋肉(広背筋・僧帽筋・大円筋など)を鍛える際に有効なトレーニングです。
また、三角筋後部や上腕二頭筋にも刺激を加えることができます。
今回は、腕のトレーニングとしてのインバーテッドロウのコツをいくつか挙げていきます。

  1. 手幅は狭く設定する
    • 手幅を狭く設定することで、上腕二頭筋への筋肉への負荷が得やすくなります。
  2. 身体をまっすぐに保つ
    • 頭からかかとまで一直線になるように意識しましょう。
      背中が丸まるとターゲットとなる筋肉に効かせにくくなるため注意が必要です。
  3. 上体をしっかり引き上げる
    • 腕の屈曲と筋肉の収縮を意識して、限界まで上体を引き上げるようにしましょう。
  4. 動作のコントロール
    • 動作は丁寧にコントロールして行います。
      体を引き上げて一旦止める意識でしっかり筋肉を収縮させた後、ゆっくりと重力に抵抗するように身体をおろして行きましょう。
      腕の筋肉の収縮と伸長をしっかり意識しましょう。
  5. 手の向きを変える
    • 順手もしくは逆手で行うことで、腕の筋肉への刺激を変えることができます。
      テーブルで行う場合、行いやすいのは順手でしょうが、順手は前腕や上腕筋への効果は得られますが上腕二頭筋への刺激は弱くなってしまいます。
      上腕二頭筋を鍛えたい場合は逆手で行うと効果的です。
      ただし、逆手は顔がテーブルの裏にくる分少し行いづらいかもしれません。

上腕三頭筋は、肘関節伸展時に負荷を加えることで鍛えることができます。

1.ナロープッシュアップ

ナローとは「狭い」という意味であり、ナロープッシュアップは手幅を狭く設定して行うプッシュアップということになります。

プッシュアップは主に胸部、肩、上腕三頭筋の筋肉を鍛えるトレーニングですが、手の位置を肩幅より狭くするナロープッシュアップでは上腕三頭筋を重点的に鍛えることができます。

方法

  1. 腕立て伏せの姿勢から始めますが、両手を肩幅より狭く設定します。
  2. 息を吸いながら、肘を曲げて体をゆっくりと下げれるところまで下げます。
    このとき、肘は体の側に密着させ、体はまっすぐ一直線のラインになるように保ちます。
  3. 息を吐きながら、肘を伸ばし、元の位置に戻ります。

負荷の調整

膝つきプッシュアップや手や足の位置を高くすることにより負荷を調整することもできます。

詳しくはプッシュアップ(胸トレ編)を参照してください。

腕立て伏せの基本的なフォームと注意点!

インクライン・プッシュアップ

デクライン・プッシュアップ

ダイヤモンドプッシュアップ

ダイヤモンドプッシュアップはナロープッシュアップの一種です。
「ダイヤモンド」という名前は、手の形に由来しています。
両手の親指と人差し指を合わせて “ダイヤモンド型” を作ることからこの名前が付いています。
この手の形にすることで、手首の角度が自然になり、手首への負担が軽減されるのが特徴です。

ナロープッシュアップは、手幅を狭くして上腕三頭筋に負荷をかける腕立て伏せのバリエーションですが、手幅を狭めて指先を正面に向けると、手首に過度なストレスがかかる可能性があります。
ダイヤモンドプッシュアップでは、両手の親指と人差し指でダイヤモンドの形を作ることで、指先を内側に向けて行います。
手首の角度が自然になり、手首の負担が軽減されます。

2.トライセプス・ディップス

トライセプス・ディップスは、上腕三頭筋、大胸筋、三角筋、背中などを鍛えるためのトレーニングです。

トライセプス・ディップスは、「ベンチベンチ・ディップス」や「ボックス・ディップス」や「リバースプッシュアップ」と呼ばれることもあります。

方法

【準備】

  1. ベンチ台、または安定した椅子・台を用意します。
    台無し(床)でもできなくはありませんが、可動域は大幅に狭くなります。
    また、床だと手首や肩にも負担がかかりやすくなるため、台の準備をおすすめします。

【スタートポジション】

  1. 台の端に座り、両手を腰の横で台の淵に置く
    手幅は肩幅から少し広い程度、指先は前方に向ける
  2. 腕を伸ばし、両手で体重を支えながら、お尻を前にずらして台から浮かせます。
  3. 背筋を伸ばして胸を軽く張ります。(肩甲骨をやや寄せる)
    肩がすくまないように、肩を落とした状態を作っておきましょう。
  4. 足を前に出し、膝を軽く伸ばしてかかとを床につけます。

【実施動作】

  1. 肩甲骨を寄せた状態を保ち、息を吸いながら肘を曲げていきます。
    背中を台に沿わせるように、ゆっくりとお尻を床の方向へ下ろしていきます。
    肘の角度が約90度になるまで、ただしお尻が床につかない位置まで上体を下ろしましょう。
    この時、肩がすくまないように注意しましょう。(肩を下げたまま動作を行う)
    肩関節に負担を感じるときは、無理のない可動範囲で行うようにしましょう。
  2. 息を吸いながら、肘を伸ばして元の位置に戻ります。
  3. 繰り返す(例:10〜15回 × 2〜3セット)

負荷の調整

負荷を軽くする場合

足をつく位置が手の位置に近ければ負荷が軽くなるため、膝を曲げて立てるようにして行うと負荷を軽くすることができます。

負荷を高くする場合

足を床より高い台の上にのせて行うと重心が上体により負荷を高くすることができます。

注意点

  1. 体を安定させる
    • 上腕三頭筋にしっかり効かせるためには、体をぶらさず、丁寧に動作を行うことが重要です。
      安定性が悪いと感じる場合は、手の間隔をやや広げる、足幅を広げるなどの工夫で、フォームの安定化を図ってみましょう。
  2. 反動を使わない
    • 反動を使うと、上腕三頭筋に効果的な刺激が入らず、肩関節に過度な負荷がかかる場合があります。
      反動を使わず、ゆっくりとコントロールした動作を意識するようにしましょう。
  3. 肩をすくめない
    • 動作中に肩をすくめると、背中が丸くなりやすく、身体の軸も乱れやすくなります。
      フォームが崩れ負荷が逃げる原因となるほか手首・肘・肩にも負担がかかる可能性があります。
      スタートポジションで背筋を伸ばして胸を軽く張り、肩甲骨を軽く寄せて下げた状態を作っておきましょう。
      動作は肩を下げたまま行います。
      肩の位置を安定させたまま、肘の曲げ伸ばしで動作を行うようにしましょう。
  4. 身体は垂直に下ろす
    • 前傾しすぎると負荷が逃げ、後傾しすぎると肩への負担が大きくなります。
      背中を台に沿わせ、なるべく垂直に身体を下ろすよう意識しましょう。
  5. 怪我に注意する
    • 肩関節への負担に注意
      トライセプス・ディップスは、肩関節に負担がかかりやすい種目です。
      肩関節が硬い人は、可動域を浅めに調整し、無理をしないようにしましょう。
      身体を下ろす際は、背中を台に沿わせるように、できるだけ身体が台から離れないよう注意しながら、丁寧にお尻を床の方向へ下ろしていきましょう。
    • 手首の負担にも注意
      手首に無理な負担を感じる場合は、手の位置や角度を調整してみましょう。
      動作を行う上で肩や手首にに強い違和感や痛みがある場合は、無理せずトレーニングを中止する判断も必要です。
  6. 呼吸の調整
    • 体を下ろすときに息を吸い、戻るときに息を吐くようにしましょう。
      動きと呼吸を合わせることで、動作が安定しやすくなります。
      動作中は、呼吸を止めないようにしましょう。

前腕は、手首や指の屈曲・伸展、前腕の回内・回外といった動作に負荷をかけることで鍛えることができます。
また、前腕の中でも腕橈骨筋をはじめとする一部の筋肉は、肘関節の屈曲によっても鍛えることが可能です。
ただし、前腕のトレーニングでは手首や指に負荷が集中するため、過度に行うと腱鞘炎などのケガにつながるリスクが高くなります。
腱や関節への負担、使用する重量や回数、痛みや違和感の有無など注意しながら安全にトレーニングを行っていきましょう。
加えて、休養期間の確保や指・手首のストレッチなど、日頃のケアも心がけるようにしましょう。

これまで、「自重トレーニング」という枠組みで種目を紹介してきましたが、前腕の自重トレーニングとなると、懸垂バーを使ったぶら下がりや指立て伏せといった種目が挙げられます。
しかし、ぶら下がりには懸垂台の設置が必要となり、指立て伏せは指関節への負担が大きいため、今回はそれらの種目は除外いたします。

以上の理由から、前腕のトレーニングについては、比較的簡単に準備できる道具の利用も含めた、ご自宅でできるトレーニングという観点でいくつかご紹介していきます。

1.グーパー法

器具やスペースが不要で、場所を選ばずいつでも気軽にできる前腕のトレーニングです。
グーとパーを繰り返し、前腕屈筋群と前腕伸筋群に刺激を加えます。
両手同時でも片手ずつでも行えます。

方法

  1. 手のひらを開きます。
    指を開く際には同時に手首も反るように行います。
  2. 指を曲げ、強く握りこみます。
    握りこむ際には同時に手首も巻き込むようにします。
  3. ①~②を繰り返します。

入浴時に湯船の中で行うと、水の抵抗も加わり負荷が高まります。
ただし、入浴というリラックスタイムまで筋トレを持ち込むことへの賛否は別とします。

2.ハンドグリップ

握力を鍛える専用の器具です。
安価なものは100円ショップなどにも置いてあります。
片手にハンドグリップを持ち、握り締めてからゆっくり手を広げる動作を繰り返します。
ゴムボールなどがあれば代用品として利用することもできます。

3.パワーボール

パワーボールとは野球やテニスボールほどの大きさの球状のトレーニング器具で、前腕筋群を鍛えるのに効果的です。
小型のトレーニング器具のため保管場所の確保にも困りません。
内側に回転ローラーがあり、手首のスナップを使って中のボールの回転を高めるもしくはキープするというトレーニングです。
スポーツ用品店やネットで購入することができます。

4.リストローラー

重りをつけたロープをバーに巻き付け、手首の曲げ伸ばしを行いながらロープを巻き取っていくトレーニングです。
前腕屈筋群と前腕伸筋群を一つのトレーニングで鍛えることができます。
また、腕を前に伸ばしてウエイトを巻き取るため、前腕の筋力を高めるだけでなく、肩(三角筋前部)へも刺激を加えることができます。
リストローラーは、専用の器具としても販売されていますが、構造がシンプルなので比較的簡単に自作することもできます。
ウエイトは水の入ったペットボトルや重りの入った袋などで代用することができます。

方法

  1. 胸の前に腕を伸ばしてバーを両手で持ちます。
  2. 手首の曲げ伸ばしを行いながらロープを巻き取っていきます。
  3. ロープを完全に巻き取ったら、逆の動作で手首の曲げ伸ばしを行いながら重りを元の位置まで下ろします。
  4. 一度下ろしきったら、今度は逆の回転でロープを巻き取っていきます。

今回は、上腕に関しては「自宅で器具を使わずにできる自重トレーニング」、前腕に関しては「簡単に準備できる道具の使用を含めた自宅で行えるトレーニング」をご紹介しました。
なお、腕のトレーニングでは、上腕・前腕ともにウエイト(重量)を用いたトレーニングが非常に効果的です。
ダンベルやバーベルを使うことで、トレーニングのバリエーションや負荷の調整が容易になり、より効果的に筋肉を鍛えることができます。
代用品としては、ペットボトルや重りを入れた袋など、身近なものを活用する方法もあります。
ただし、これらは「持ちにくい」「バランスがとりにくい」「負荷の細かい調整が難しい」「形状によってはフォームが安定しにくい」といったデメリットもあります。
自宅トレーニングを継続していく予定のある方には、ダンベルの購入を検討してみるのも良い選択です。
ちなみに、重りを入れた袋を利用すれば「リストカール」や「ハンマーカール」などの種目を行うこともできます。
ただし、これらは後日「ダンベルを使ったトレーニング」として詳しくご紹介する予定のため、今回は割愛しました。
腕は日常的にも露出する機会が多く、身体の中でも特に人目につきやすい部位です。
引き締まった腕は見た目の印象を大きく変えるだけでなく、スポーツや日常動作、他のトレーニングのパフォーマンス向上にも役立ちます。
上腕二頭筋・上腕三頭筋・前腕筋群の3つの部位をバランスよく鍛え、機能的で美しい腕を目指しましょう。

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