腕をターゲットとした自重トレーニングでは、腕立て伏せや懸垂などが代表的なものとしてあげられます。
また、腕のトレーニングでは上腕・前腕共にウエイトを扱う種目が非常に有効となります。
ダンベルなどのウエイトがあるとトレーニングの幅が広がります。
ダンベルやバーベルの代用として、ペットボトルや重りの入った袋などの身近なものを利用する方法もあります。
トレーニング用品を準備する必要がないという利点はありますが、持ちにくい、バランスをとりにくい、負荷の調節が行いにくい、形状的にトレーニングが行いにくいなどのデメリットもあります。
自宅のみでトレーニングを行う場合は、ダンベルの購入を検討してみるのもいいでしょう。
腕のトレーニングでは、大きく上腕二頭筋、上腕三頭筋、前腕筋群の3つに分けてトレーニングを行うことができます。
今回も、上腕では自宅で準備なしで行えるトレーニングということで、懸垂を省いた自重トレーニングをご紹介したいと思います。
なお、前腕筋群に関しては、(簡単に準備できる道具の使用を含めた)ご自宅でできるトレーニングという括りで、いくつかトレーニングを紹介したいと思います。
上腕二頭筋の自重トレーニング
上腕三頭筋の自重トレーニング
前腕の(自宅でできる)トレーニング
上腕二頭筋の自重トレーニング
上腕二頭筋は、肘関節屈曲時に負荷を与えることで鍛えることができます。
1.パームカール
自らの体重を利用するわけではないので、自重トレーニングとは言えないかもしれませんが、片方の手で反対の手を抑えることで負荷を与えるトレーニング法にパームカールというトレーニングがあります。
自分で負荷のコントロールができるため安全性も高く、どこでもできるという利点があります。
方法
- 片方の手でもう片方の手首を押さえます。
- 肘を支点にして押さえられている腕を曲げます。
- 力を入れた状態をキープしながら、ゆっくりと腕を曲げ伸ばしすることで、上腕二頭筋に負荷をかけます。
- 反対の腕も同様に行います。
パームカールのコツ
1. 手首を内側に巻き込むように力を入れる
上腕二頭筋の収縮率を高めるために、手首を内側に巻き込むように行いましょう。
小指を肩に近づけるイメージで前腕を回外させながら力を入れると、上腕二頭筋に刺激が入りやすくなります。
2. 負荷をかける方の肘は体の横に固定する
肘の位置が動くと、上腕二頭筋を含む屈曲筋群に適切な負荷がかかりにくい場合があります。
負荷をしっかりとかけるために、肘を体の横に固定しましょう。
3. 押さえる場所は手首
手首より先端(指先側)を押さえると、手首が反って痛める可能性があります。
また、押さえる位置が不安定だと、適切に負荷をかけることが難しくなります。
安定した手首を支点として、負荷をかけるようにしましょう。
2.インバーテッドロウ(斜め懸垂)
肩や背中の自重トレーニングでもご紹介したインバーテッドロウ(ななめ懸垂)は、上腕二頭筋にも刺激を加えることができます
自宅でもテーブルなどを利用して行える場合がありますので、今回もご紹介しておきます。
方法(上腕二頭筋をターゲットとしたインバーテッドロウ)
- 上腕二頭筋狙いのインバーテッドロウの場合は、バーを逆手でつかみ手の幅は狭く設定します。(※ご自宅であればテーブルなどを利用してもできますが、必ず安定性や強度を確認の上行ってください)。
- 足を前に伸ばして体を斜めに保ちます。
- 身体をまっすぐに保ちながら、腕の力で体を引き上げます。
- 肘関節を限界まで屈曲させたら、一度ストップさせる意識でしっかりと腕の筋肉の収縮を感じるようにしましょう。
- 重力に逆らうように、ゆっくりと元の位置に戻します。
負荷の調整
負荷を軽くする場合
負荷を軽くする場合は、立位に近くなるほど負荷は軽くなります。
高さが調整できるスミスマシンのバーなどを利用する場合は負荷の調整が行いやすいと思いますが、高さが調整できない場合はゴムバンドを利用する方法(バンドアシスト)もあります。
また、足の位置が手の位置に近ければ負荷が軽くなるため、膝を曲げて立てるようにして行うと負荷を軽くすることができます。
負荷を高くする場合
身体が床と水平に近くなるほど、足側の支える場所が手から離れるほど負荷が強くなります。
自宅でテーブルを利用して行う場合は、椅子などの上に両足を乗せて行うといいでしょう。
フォームを崩さない範囲で、自分の筋力に合わせて負荷を調整しましょう。
上腕二頭筋をターゲットとしたインバーテッドロウのコツ
インバーテッドロウは主に体の背面、特に背中の筋肉(広背筋・僧帽筋・大円筋など)を鍛える際に有効なトレーニングです。
また、三角筋後部や上腕二頭筋にも刺激を加えることができます。
今回は、腕のトレーニングとしてのインバーテッドロウのコツをいくつか挙げていきます。
- 手幅は狭く設定する
- 手幅を狭く設定することで、腕の筋肉への負荷が得やすくなります。背中や肩をターゲットとする場合は手幅は肩幅よりも広く取るようにしましょう。
- 身体をまっすぐに保つ
- 頭からかかとまで一直線になるように意識しましょう。背中が丸まるとターゲットとなる筋肉に効かせにくくなるため注意が必要です。
- 上体をしっかり引き上げる
- 腕の屈曲と筋肉の収縮を意識して限界まで上体を引き上げるようにしましょう。
- 動作のコントロール
- 動作は丁寧にコントロールして行います。体を引き上げて一旦止める意識でしっかり筋肉を収縮させた後、ゆっくりと重力に抵抗するように身体をおろして行きましょう。腕の筋肉の収縮と伸長をしっかり意識しましょう。
- 手の向きを変える
- 順手もしくは逆手で行うことで、腕の筋肉への刺激を変えることができます。テーブルで行う場合、行いやすいのは順手でしょうが、順手は前腕や上腕筋への効果は得られますが上腕二頭筋への刺激は弱くなってしまいます。上腕二頭筋を鍛えたい場合は逆手で行うと効果的です。ただし、逆手は顔がテーブルの裏にくる分少し行いづらいかもしれません。
上腕三頭筋の自重トレーニング
上腕三頭筋は、肘関節伸展時に負荷を与えることで鍛えることができます。
1.ナロープッシュアップ
ナローとは「狭い」という意味であり、ナロープッシュアップは手幅を狭く設定して行うプッシュアップということになります。
プッシュアップは主に胸部、肩、上腕三頭筋の筋肉を鍛えるトレーニングですが、手の位置を肩幅より狭くするナロープッシュアップは上腕三頭筋を重点的に鍛えることができます。
方法
- 腕立て伏せの姿勢から始めますが、両手を肩幅より狭く設定します。
- 息を吸いながら、肘を曲げて体をゆっくりと下げれるところまで下げます。このとき、肘は体の側に密着させ、体はまっすぐ一直線のラインになるように保ちます。
- 息を吐きながら、肘を伸ばし、元の位置に戻ります。
負荷の調整
膝つきプッシュアップや手や足の位置を高くすることにより負荷を調整することもできます。
詳しくはプッシュアップ(胸トレ編)を参照してください。
ダイヤモンドプッシュアップ
ナロープッシュアップは、ダイヤモンドプッシュアップと表わされることもあります。
ダイヤモンドプッシュアップはナロープッシュアップの一種になります。
「ダイヤモンド」という名前は、手の形に由来しています。
ダイヤモンドプッシュアップでは、両手の親指と人差し指を合わせてダイヤモンドの形を作ります。
この手の配置により、プッシュアップ時の手首の負担を軽減することができます。
ナロープッシュアップは、手幅を狭くして上腕三頭筋に負荷をかける腕立て伏せのバリエーションですが、手幅を狭くして指先を正面に向けて行うと、手首に過度なストレスがかかり、手首の関節や靱帯に痛みや怪我を引き起こす可能性があります。
ダイヤモンドプッシュアップでは、両手の親指と人差し指でダイヤモンドの形を作って、指先を内側に向けて行います。
これにより、手首の角度が自然になり、手首の負担が軽減されます。
2.トライセプス・ディップス
トライセプス・ディップスは、上腕三頭筋、大胸筋、三角筋、背中などを鍛えるためのトレーニングです。
トライセプス・ディップスは、「ベンチベンチ・ディップス」や「ボックス・ディップス」や「リバースプッシュアップ」と呼ばれることもあります。
方法
準備
ベンチ台、または代わりになる安定した台や椅子などを用意します。
台がない場合は床を使って座った状態でもできますが、可動域は大幅に狭くなります。
また、床だと手首にも負担がかかりやすいため、やはり台があったほうが行いやすいでしょう。
スタートポジション
ボックスかベンチの端に座り、両手を腰の横で台の淵に置いてから、腕を伸ばして両腕で体重を支えながらボックスの縁から身体をずらし、お尻を浮かせます。
両手の手幅をせまくして行うと上腕三頭筋に負荷がかかりやすくなります。
足を前に出し膝は伸ばします。
実施
肩甲骨を寄せ、背中を椅子に近づけたまま、肘を曲げていきます。
ヒジの角度が90度になるまで肘を曲げて上体を下ろしお尻を床に近づけていきます。
ただし、お尻は床につかないようにしましょう。
※肩関節に負担を感じるときは、無理のない可動範囲で行うようにしましょう。
限界まで下げきったところで、肘関節を伸ばしてスタートポジションへ戻ります。
負荷の調整
負荷を軽くする場合
足をつく位置が手の位置に近ければ負荷が軽くなるため、膝を曲げて立てるようにして行うと負荷を軽くすることができます。
負荷を高くする場合
足を床より高い台の上にのせて行うと重心が上体により負荷を高くすることができます。
注意点
体を安定させる
上腕三頭筋にしっかり効かせるため、体をぶらさず丁寧に動作を行うように心掛けて下さい。
安定性が悪いという人は、台に着く手の間隔を少し広げたり、足を少し広げるなど調整してみてください。
怪我に注意
肩の可動域に注意しましょう。
トライセプス・ディップスは、肩関節への負担も大きい種目なので、肩関節が硬い人や、動作を行う上で肩関節に違和感がある方は無理をして怪我をしないようにしましょう。
前腕の(自宅でできる)トレーニング
前腕は、手首や指の屈曲及び伸展時、前腕の回転(回内・回外)時に負荷を与えることで鍛えることができます。
また、前腕の中でも腕橈骨筋をはじめとする一部の筋肉は、肘関節の屈曲で鍛えることができます。
前腕のトレーニングは手首や指へ負荷をかけるため、過剰に行うと腱鞘炎などの怪我のリスクも高くなるため注意が必要です。
腱や関節への負担、重量や回数、痛みや違和感の有無など注意しながらトレーニングを行っていきましょう。
また、休養の確保や指や手首のストレッチなど、ケアも心がけておくといいでしょう。
これまで自重トレーニングという区切りにしていましたが、前腕の自重トレーニングとなると懸垂バーへのぶら下がりや指立て伏せなどが挙げられます。
ただし、ぶら下がりは懸垂台の設置が必要となりますし、指立て伏せは指関節への負担が大きいため、今回は除外させていただきます。
以上の理由により、前腕のトレーニングに関しては、自重トレーニングでも準備なしで行えるトレーニングでもなく、比較的簡単に準備できる道具の利用も含めた、ご自宅でできるトレーニングというくくりで、いくつかトレーニングを紹介します。
1.グーパー法
器具やスペースが不要で、場所を選ばずいつでも気軽にできる前腕のトレーニングです。
グーとパーを繰り返し、前腕屈筋群と前腕伸筋群に刺激を加えます。
両手同時でも片手ずつでも行えます。
方法
- 手のひらを開きます。指を開く際には同時に手首も反るように行います。
- 指を曲げ、強く握りこみます。握りこむ際には同時に手首も巻き込むようにします。
- ①~②を繰り返します。
入浴時に湯船の中で行うと、水の抵抗も加わり負荷が高まります。
ただし、入浴というリラックスタイムまで筋トレを持ち込むことへの賛否は別とします。
2.ハンドグリップ
握力を鍛える専用の器具です。
安価なものは100円ショップなどにも置いてあります。
片手にハンドグリップを持ち、握り締めてからゆっくり手を広げる動作を繰り返します。
ゴムボールなどがあれば代用品として利用することもできます。
3.パワーボール
パワーボールとは野球やテニスボールほどの大きさの球状のトレーニング器具で、前腕筋群を鍛えるのに効果的です。
小型のトレーニング器具のため保管場所の確保にも困りません。
内側に回転ローラーがあり、手首のスナップを使って中のボールの回転を高めるもしくはキープするというトレーニングです。
スポーツ用品店やネットで購入することができます。
4.リストローラー
重りをつけたロープをバーに巻き付け、手首の曲げ伸ばしを行いながらロープを巻き取っていくトレーニングです。
前腕屈筋群と前腕伸筋群を一つのトレーニングで鍛えることができます。
また、腕を前に伸ばしてウエイトを巻き取るため、前腕の筋力を高めるだけでなく、肩(三角筋前部)へも刺激を加えることができます。
リストローラーは、専用の器具としても販売されていますが、構造がシンプルなので比較的簡単に自作することもできます。
ウエイトは水の入ったペットボトルや荷物の入った袋などで代用することができます。
方法
- 胸の前に腕を伸ばしてバーを両手で持ちます。
- 手首の曲げ伸ばしを行いながらロープを巻き取っていきます。
- ロープを完全に巻き取ったら、逆の動作で手首の曲げ伸ばしを行いながら重りを元の位置まで下ろします。
- 一度下ろしきったら、今度は逆の回転でロープを巻き取っていきます。
まとめ
今回は、上腕に関しては自宅で準備なしで行えるトレーニングを、前腕に関しては簡単に準備できる道具の使用を含めた自宅でできるトレーニングという括りで、いくつかトレーニングを紹介しました。
前腕の簡単に準備できる道具の使用を含めるという括りで言えば、重りの入った袋などを利用したリストカールやハンマーカールなども紹介することはできましたが、ダンベルを使用したトレーニングとして後ほど改めて紹介したいため、今回は除外しました。
腕は露出する機会も多く、体の部位の中で最も人目にさらす部分と言えます。
鍛えられた腕の筋肉は、美しい体形を作るのに役立ちます。
また、腕の力は日常生活においても、スポーツやトレーニングのパフォーマンスを向上させるためにも非常に重要です。
上腕二頭筋、上腕三頭筋、前腕筋群のバランスを考えてトレーニングを行っていきましょう。
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