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腕を鍛える上での基礎知識

全て

効果的に腕を鍛えるために、前腕・上腕のしくみを知ろう!

腕の筋肉は、物を持ち上げたり、運んだり、引いたり、押したりと、日常生活に欠かせない重要な役割を果たします。
腕を鍛えることで、日常動作が楽になるだけでなく、スポーツやトレーニングにおけるパフォーマンスの向上にもつながります。
また、腕は体の中でも露出する機会が多く、見た目の印象を大きく左右する部位でもあります。
男性にとっては、鍛えられた腕が力強く男らしい印象を与え、女性にとっては、引き締まった二の腕が健康的で美しいボディラインを演出してくれます。
ぜひ鍛えておきたい腕の筋肉なのですが、「とりあえず腕立て伏せやダンベルカールでもやってみるか」と、やみくもに行っているだけでは、思うように効果が出ないこともあります。
そこで大切なのが、腕の筋肉の構造や役割を正しく理解することです。
それぞれの筋肉の働きを知っておくことで、狙った部位にしっかり効かせるトレーニングができるようになり、効果も格段に高まります。
今回は、腕を構成する「前腕」と「上腕」の筋肉について、それぞれの構造と役割を解説していきます。

腕のトレーニングでは、上腕の「上腕二頭筋」と「上腕三頭筋」、そして前腕全体をまとめた「前腕筋群」の3つに分けて考えるのが一般的です。
しかし、実際の腕はそれ以外にも細かな筋肉が多数集まっており、それぞれが特定の動作や安定性に関わっています。

腕の筋肉の構造

上腕

上腕とは、肩から肘にかけての部分を指し、上腕の筋肉は主に肘関節や肩関節の運動に関与しています。
上腕といえば、多くの人が腕を曲げたときに盛り上がる「力こぶ」、つまり上腕二頭筋を思い浮かべるでしょう。
しかし、その深層には上腕筋という筋肉も存在しており、これも肘の屈曲に重要な役割を果たします。
また、前腕と肩の間には烏口腕筋(うこうわんきん)という小さな筋肉があり、肩関節の内転などを補助的にサポートします。
さらに、上腕二頭筋の裏側(対側)には、肘を伸ばす働きを持つ上腕三頭筋が存在します。
実はこの上腕三頭筋の方が筋肉量が多く、上腕の筋肉全体の約2/3を占めています。
そのため、腕の太さやたくましさを出すには、上腕三頭筋のトレーニングが非常に重要です。

上腕二頭筋

上腕二頭筋は、腕の中でも特に目立つ筋肉で、上腕の前側に位置しています。
大きく盛り上がるその形から、一般的には「力こぶ」として知られています。
名前の通り、上腕二頭筋は「短頭」と「長頭」という2つの筋腹から構成されています。
短頭は体の内側(小指側)に位置し、長頭は体の外側(親指側)に位置しています。
この2つの頭は、それぞれ異なる起始部(肩の部分)を持ちますが、肘を屈曲させたり、前腕を回外(手のひらを上に向ける動き)したりする際に協力して働きます。

上腕二頭筋の起始・停止

起始

 長頭: 肩甲骨の関節上結節
 短頭: 肩甲骨の烏口突起

停止

 橈骨粗面と上腕二頭筋腱膜

上腕二頭筋は、起始と停止が肩と肘の二つの関節をまたぐ「二関節筋」に分類されます。
長頭は、肩甲骨の関節上結節から起こり、肩関節の関節腔内を通ります。
その後、上腕骨頭の上を横断し、上腕骨小結節の外側縁を滑車のように利用して進路を変え、結節間溝を下行します。
短頭は、肩甲骨の烏口突起から起こり、烏口腕筋の表面を走行します。
停止腱は肘関節をまたぎ、橈骨粗面に付着します。
また、一部の線維は腱膜(二頭筋腱膜)として前腕内側の皮下にある前腕筋膜と癒合しています。
この腱膜は、前腕を回外(手のひらを上に向ける動き)する際に、上腕二頭筋の収縮力を前腕筋膜に伝える役割も果たしています。

上腕二頭筋役割

  1. 肘関節の屈曲
    上腕二頭筋は肘関節を屈曲させる主要な筋肉であり、腕を曲げる動作に大きく関与します。
  2. 前腕の回外
    手のひらを上に向ける(前腕回外)動作にも関与します。
  3. 肩関節の屈曲
    上腕二頭筋は肩関節の屈曲(腕を前方に持ち上げる)にも関与します。

上腕二頭筋の停止部である橈骨(とうこつ)は、前腕の回旋(回内・回外)時に動く骨です。
そのため、上腕二頭筋が収縮すると、前腕の回外(手のひらを上に向ける動き)を引き起こす作用があります。
このことから、上腕二頭筋は「前腕を回外させた状態で肘を曲げる動作」で、最も強い力を発揮します
特に、肩甲骨の烏口突起を起始とし、上腕の体側(内側)を走る短頭は、前腕を回外させた状態での屈曲動作において、より強く作用します

上腕二頭筋のトレーニングでは、前腕を回外させた(手のひらを上に向けた)状態で肘関節の屈曲を行うようにしましょう

上腕筋

肘関節を曲げる筋肉には、上腕二頭筋のほかに、上腕筋という筋肉も存在します。
上腕筋は、上腕の前面深層に位置する筋肉で、上腕二頭筋の下(深い部分)にあります。
特に肘関節に近い部分に位置し、肘の屈曲(曲げる動作)に直接作用する重要な筋肉です。
上腕二頭筋のように力こぶとして目立つことはありませんが、純粋に肘を屈曲させる力を担う筋肉として非常に大切です。

上腕筋は、上腕二頭筋の下(深層)に位置する筋肉です。
この上腕筋を鍛えて筋量を増やすことで、上腕二頭筋を下から押し上げ、腕全体に厚みと太さを出す効果が期待できます。
そのため、太くたくましい腕を作りたい方にとっても、上腕筋はぜひ鍛えておきたい重要な部位です。
とはいえ、上腕二頭筋などをターゲットとした一般的な肘関節屈曲のトレーニング(例:アームカール)でも、上腕筋は自然に使われます。
そのため、特別に上腕筋だけを狙って鍛える必要はないでしょう。

上腕筋の起始・停止

起始

 上腕骨前面
 内・外側の上腕筋間中隔
 肘関節包前面

停止

 尺骨粗面

上腕筋の役割

肘関節の屈曲

前述のとおり、上腕二頭筋は停止部である『橈骨』が前腕の回旋時に動く特性上、前腕回内(手のひらを下に向けた状態)時に肘屈曲筋としての作用が低下します。
一方、上腕筋が停止する「尺骨」は前腕の回内・回外時ともにほとんど動かないため、前腕の回旋(回内・回外)に影響を受ける上腕二頭筋とは異なり、前腕の回旋動作の影響をほとんど受けず、安定したパフォーマンスを発揮します
つまり、肘関節の純粋な屈曲筋として作用するのは、この上腕筋のみと言えます。

烏口腕筋

烏口腕筋」は、肩甲骨から上腕前面に向かって走行する細長い筋肉です。

烏口腕筋の起始・停止

起始

 肩甲骨の烏口突起

停止

 上腕骨の内側中央部

烏口腕筋の役割

 肩関節の内転と屈曲

烏口腕筋はメインとして単体で働くというより他の筋肉と協力し、その動きをサポートするインナーマッスルの役割を果たします。

上腕三頭筋

上腕三頭筋」は、上腕後面全域に大きな筋腹を構成しており、「長頭」・「内側頭」・「外側頭」という3つの起始からなるため「三頭筋」と呼ばれます。

「外側頭」と「内側頭」は短頭と呼ばれることもあり、外側頭は主に肘を伸ばすときに作用し、内側頭はその補助をしています。
上腕の中で、まず目が行くのは力こぶである上腕二頭筋かも知れません。
しかし、実は上腕三頭筋のほうが筋量が多く、上腕の筋肉の2/3程度を占めています
上腕三頭筋を鍛えることで、効率的に腕周りを大きくすることができるため、腕の太さ・たくましさを出すためには非常に重要な筋肉です。
また、上腕三頭筋のある上腕後面といえば、女性にとっては、たるみの気になる部位でもあります。
上腕三頭筋のトレーニングによって、たるんだ二の腕を引き締めることもできます。
引き締まった腕は、健康的で美しい印象を与えます。

上腕三頭筋の起始・停止

起始

 長頭 : 肩甲骨関節下結節

 外側頭 : 上腕骨近位の後外面

 内側頭 : 上腕骨中部の後内面

停止

 尺骨の肘頭

つまり、上腕三頭筋の中でも長頭は、肩甲骨と肘をまたぐ「二関節筋」であり、肘関節の伸展に加えて肩関節の伸展や内転にも関与します。
一方、「外側頭」と「内側頭」は上腕骨から始まる単関節筋であり、外側頭は主に肘関節の伸展に作用し、内側頭はその動きを補助する役割を担います。

上腕三頭筋の役割

  1. 肘関節の伸展
    上腕三頭筋の主な働きとして、肘関節の伸展(肘を伸ばす動作)に関与します。
  2. 肩関節の伸展
    上腕三頭筋の長頭は肘の二つの関節をまたぐ「二関節筋」であり、肩関節の伸展(上腕を後ろに上げる動作)に対しても働きます。
  3. 肩関節の内転
    上腕三頭筋の長頭は、腕全体を内側に回す動作(内転)に対しても働きます。

前腕

前腕とは、肘から手首までの部分を指し、約20種類もの筋肉からなる「前腕筋群」が存在します。
これらの筋肉は、前腕の回旋(回内・回外)や手首・指の動きに深く関与しており、日常のあらゆる動作に欠かせない働きを担っています。
私たちが手や指先で精密な作業を行えるのは、これら多数の前腕筋が協調して機能しているおかげです。
前腕筋群は大きく『前腕屈筋群(手のひら側)』と『前腕伸筋群(手の甲側)』の2つに分類されます。
それぞれが手首や指の屈伸に関わっており、バランスよく鍛えることが重要です。
中でも目立つ筋肉として、腕橈骨筋(わんとうこつきん)があります。
これは前腕前面の外側(親指側)に位置し、肘を曲げる動作に加え、前腕を内側に回す「回内動作」にも関与しています。

前腕筋群

前腕は、肘から手首までの部分を指します。
前腕には、20近い筋肉からなる「前腕筋群」が存在し、手首の屈曲・伸展、外転・内転、回内・回外などの複雑な動きを可能にし、力強い握りこみや精密な手の動きを支えるために非常に重要な働きをします。

前腕筋群は、大きく「前腕屈筋群」と「前腕伸筋群」の2つに分けられます。
一般的に、屈筋群は手のひら側(前腕の内側)に、伸筋群は手の甲側(前腕の外側)に位置しています。
前腕屈筋群は主に手首や指を屈曲させる動作、そして前腕の回内(手のひらを下に向ける動作)に作用します。
前腕伸筋群は主に手首や指を伸ばす動作、および前腕の回外(手のひらを上に向ける動作)に作用します。

腕橈骨筋

腕橈骨筋」は前腕前面の外側(親指側)に位置し、前腕の筋肉の中でも上腕二頭筋や上腕筋とともに、肘関節の屈曲に大きく関与します。

起始・停止

起始

 上腕骨の下部外側縁

停止

 橈骨の茎状突起

役割

1.肘関節の屈曲

腕橈骨筋は、手首(手関節)の動きには関与せず、主に上腕二頭筋や上腕筋とともに、肘関節の屈曲動作に貢献する筋肉です。

腕橈骨筋が最も効果的に力を発揮するのは、前腕が「中間位」にあるときです。
中間位とは、前腕の回内と回外の中間の位置で、具体的には手を前に出したときに、親指が上を向き、小指が下を向いている状態を指します(例:ダンベルを縦に握る「ハンマーグリップ」の姿勢)。

この中間位で、腕橈骨筋は強く働き、肘関節の屈曲動作に大きく貢献します。

腕橈骨筋を効果的に鍛えるには、前腕を中間位(手を垂直に立てた状態)に保ち、肘関節の屈曲動作を行うのがポイントです

2.前腕の回内・回外

腕橈骨筋は、肘関節の屈曲に加え、前腕が回内位または回外位から中間位に戻る際の回旋動作(回内・回外)にも関与します。


腕を鍛えることには多くの利点がありますが、その中から7つほど挙げてみます。

1.日常生活の機能向上

2.スポーツパフォーマンスの向上

3.基礎代謝の向上

4.見た目の改善(ボディメイク)

5.自信の向上

6.健康維持

7.むくみ・冷え性の改善


1. 日常生活の機能向上

腕の筋力は、日常生活を快適に送るうえで非常に重要な役割を果たします。
腕の力を強化することで、物を持ち上げる・押す・引くといった動作がスムーズになり、日々の動作がより楽になります。
また、前腕の筋肉は、手や指の細かな動きをコントロールし、握力の向上に直結します。
前腕を鍛えることで、物をしっかりと握る力が増し、買い物袋を持つ、フタを開けるといった動作も楽に行えるようになります。

2. スポーツパフォーマンスの向上

腕の筋力が強化されることで、スポーツやトレーニング全般においてパフォーマンスの向上が期待できます。
物を投げる、引く、押す、支えるといった多くの競技動作において、腕の力は基盤となります。

3. 基礎代謝の向上

筋肉量が増えると、体が安静にしているときでも消費するエネルギー(基礎代謝量)が増加します。
その結果、太りにくく、痩せやすい体質へと変わっていきます。

4. 見た目の改善(ボディメイク)

太くてたくましい腕は、力強く頼りがいのある印象を与えます。
一方で、トレーニングの方法によっては腕の引き締めにも効果があり、特に気になりやすい二の腕のたるみ改善にも役立ちます。
腕は露出する機会が多く、日常的に人目に触れやすい部位です。
そのため、しっかり鍛えることで見た目の印象が大きく変わり、ボディメイクの効果を実感しやすい部位でもあります。

5. 自信の向上

見た目が引き締まり、筋肉が発達することで、自分の体に対する自信が自然と高まります。
また、トレーニングを継続して目標を達成することで、達成感や自己肯定感も得られ、精神面でもポジティブな影響が期待できます。

6.健康維持

筋力トレーニングは骨密度を高め、骨折や骨粗しょう症のリスクを減らす効果があります。
また、一部の研究では、握力の低下が認知症のリスク増加と関連している可能性が指摘されています。
これは、握力が神経細胞の健康状態や脳への血流と関係しているためであり、握力の低下が脳機能の低下を示すサインとなることが考えられています。

7.むくみ・冷え性の改善

四肢の筋肉を鍛えることで血液やリンパの流れが促進され、むくみや冷え性の改善につながります。

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