正しいフォーム・回数・コツ・NG例まで初心者向けに解説!
ダンベルひとつでできる優れた背中のトレーニング、それがワンハンドローイングです。
自宅トレーニング派にも人気のこの種目は、正しいフォームで行えば、ジムに行かなくても広背筋や僧帽筋などの背中の筋肉をしっかり鍛えることができます。
ただし、背中の筋肉は鏡でも見えにくく、初心者にとっては意識しづらく、使用する感覚をつかみにくい部位でもあります。
そこで今回は、筋トレ初心者の方でも安心して取り組めるように、ワンハンドローイングの正しいやり方と注意点をわかりやすく解説します。
背中にしっかり効かせるためのフォームのコツや、回数の目安、さらによくある間違いとその対策まで丁寧に紹介していきます。
ワンハンドローイング
ワンハンドローイング(またはワンハンドダンベルロー)は、背中の筋肉を鍛える代表的なトレーニング種目の一つです。
片手にダンベルを持ち、反対側の手と膝をベンチや台の上に乗せて体を安定させ、ダンベルを背中の方へ引いていく種目です。

主に鍛えられるのは「広背筋」や「僧帽筋」といった背中の筋肉で、特に「広がりのある背中」や「逆三角形のシルエット」を目指す方におすすめです。
他の背中トレーニングと比べて、フォームをコントロールしやすく、片側ずつ可動域を広く丁寧に効かせられるため、より局所的に背筋に刺激を与えることができます。
また、必要なのはダンベルと安定した台のみなので、自宅トレーニングでも実践しやすい種目のひとつです。
ワンハンドローイングで鍛えられる筋肉
主に、背中の上部から中部にかけての筋肉を集中的に鍛えることができます。
ワンハンドローイングで鍛えられる筋肉

- 広背筋 ※メインターゲット
背中の側面〜下部に広がる背中の大きく面積を占める主要な筋肉で、逆三角形のシルエットを作るうえで非常に重要な部位です。
腕を引く動作(肩の内転・伸展・内旋)を担います。
特にワンハンドローイングはこの広背筋に効果的にアプローチします。 - 僧帽筋(特に中部〜下部)
首の付け根、背中の上部~中部にかけて広がる筋肉で、姿勢の安定や肩甲骨の動きに関わります。
上半身の厚みを出すのに貢献します。
ワンハンドローイングでは肩甲骨を引き寄せる動作で中部・下部僧帽筋がよく使われます。 - 大円筋
肩甲骨の外側、広背筋の上側に位置する筋肉で、腕を後方に引く動作で使われます。
広背筋の動きをサポートし、鍛えることで背中の立体感がアップします。 - 菱形筋
肩甲骨の内側(背中の中央付近)に位置する筋肉で、肩甲骨を内側に引き寄せる動きに関与します。
腕を引く動作で肩甲骨を絞める意識をもつことで、しっかりと刺激されます。 - 三角筋後部
肩の後ろ側に位置する筋肉で、肩関節を伸展・外旋させる動きに関与します。
ローイング動作中に腕を後ろに引くことで、効率よく働きます。 - コア(体幹筋)
片手ずつ行うため、体のねじれ・ブレを抑え、体幹の安定性を保つ必要があります。
結果、腹筋群や脊柱起立筋なども使用されます。
このように、ワンハンドローイングは背中全体をバランスよく鍛えられる非常に優秀な種目です。
フォームや引く角度を意識して行うことで、それぞれの筋肉へ狙いを定めやすくなります。
ワンハンドローイングのメリット・デメリット
これまでの内容から、ワンハンドローイングのメリット・デメリットをまとめてみました。
ワンハンドローイングのメリット
- 自宅でもできる
ジムに行かなくても、ダンベルとベンチ(または椅子)さえあれば自宅でも手軽に取り組むことができます。 - 可動域が広い
ダンベルは左右が独立しているため、ダンベルを深く下げ、しっかり引き切れるため、大きな可動域で背中の筋肉をしっかりストレッチ・収縮できます。 - 背中にしっかり効かせやすい
片手ずつ行うため、フォームの確認が行いやすく、丁寧な動作を意識しやすい種目です。
「質を重視したい方」には非常におすすめの種目です。 - 左右の筋力バランスを整えられる
ワンハンドローイングはダンベルで片手ずつ行う種目です。
バーベル(両手)で行うと、左右の強い方の筋肉に頼ってしまうことがありますが、片手ずつ行うことにより筋肉の不均衡を改善させて左右の筋肉のバランスを整えることができます。
利き手・非利き手の筋力差を埋めたい人に適しています。 - 体幹の安定性が向上する
片側ずつ引く動作のため、体がブレないように腹筋や背筋でバランスを取る必要があります。
結果として、体幹(コア)も鍛えられます。 - 腰への負担が少なめ
ワンハンドローイングは前傾姿勢で行う種目ですが、片手・片膝をベンチや台に置いて体を支えるため、姿勢を安定させやすく、腰への負担が比較的少ないのが大きな特徴です。
正しいフォームを保ち、無理のない重量で行えば、体幹の筋力に自信ない方・腰に不安のある方・初心者・高齢者の方などでも、安全に取り組みやすいトレーニング種目といえるでしょう。
また、腰への負担を減らすことで広背筋をはじめとする背筋群に集中して効かせやすくなるため、「安全性」と「効果」を両立しやすいのも魅力のひとつです。 - 正しい姿勢の維持や肩こり・腰痛改善効果も期待できる
単に背中を鍛えるだけでなく、姿勢改善や猫背対策にも効果的です。
正しい姿勢の維持や肩こり・腰痛改善の効果も期待できる種目です。
ワンハンドローイングのデメリット
- 高重量を扱いにくい
ダンベルは左右が独立しているため、それぞれの手でバランスを取りながら動作を行う必要があります。
また、可動域も大きくなるため、ベントオーバーロウのようなバーベル種目より高重量を扱うのが難しくなるという側面があります。 - フォームが崩れやすい
初心者は腕で引いてしまいがちで、背中に効かせづらくなる傾向があります。
また、ダンベルは可動域が広くなる分、フォームがブレやすくなります。
フォームが崩れると、筋肉に効かせにくくなるだけでなく、ケガのリスクも高まるため注意が必要です。 - 重量に限界がある
ダンベル自体があまり高重量のものがないことも多いため、筋力が向上してくると負荷が物足りなく感じることがあるかもしれません。
自宅で行う場合、ダンベルの種類によっては重量調整や持ち替えが面倒なこともあります。 - トレーニングにやや時間がかかる
ワンハンドローイングは片手ずつ交互に行う種目のため、バーベルなどの両手で同時に行うトレーニングに比べて、どうしても時間がかかってしまいます。
限られた時間でトレーニングを行いたい方にとっては、やや非効率に感じるかもしれません。
ワンハンドローイングはこんな人におすすめ!
- 背中の筋肉をしっかり鍛えたい人
広背筋を中心に、背中全体を効率よく鍛えることができます。
引く動作で広い範囲を刺激できるため、背中の厚みと広がりの両方に効果的です。
日常生活はもちろん、スポーツパフォーマンス向上にも役立ちます。 - 左右の筋力差を整えたい人
左右の腕を独立して動かす種目なので、利き手・非利き手の筋力バランスを調整しやすいのが特徴です。 - 筋トレ初心者
片手ずつ行うことで、フォームを確認しやすく、背中の筋肉の収縮・ストレッチ感も実感しやすいため、初心者に最適な背中種目です。 - 自宅でトレーニングをしたい人
必要なのはダンベルとベンチ(または椅子)だけ。ジムに行かなくても、自宅で手軽に実践できます。 - 腰への負担が少ない種目を探している人
片手を台につけることで体を安定させやすく、前傾姿勢のわりに腰に負担がかかりにくいのがポイントです。
例えば、デットリフトを行った後にベントオーバーロウを行おうとすると、脊柱起立筋の疲弊により前傾姿勢を維持することが困難な場合があります。
ワンハンドロウイングは、片方の手をついて姿勢を保持できるので、腰が疲れている場合のベントオーバーロウの代わりにもなります。

個人的にはベントオーバーロウよりも姿勢保持に力を使わなくてよいので、背中の筋肉に集中しやすい種目です
- 姿勢改善・肩こり・腰痛の予防をしたい人
背中の筋肉を鍛えることで、猫背や巻き肩の改善に効果が期待できるほか、姿勢が整うことで肩こりや腰痛の予防・改善にもつながります。
ワンハンドローイングの正しい方法(やり方)
器具の準備
- ダンベル(1つでもOK、フォームを崩さない適切な重量で行いましょう)
- ベンチ or 丈夫な椅子(手と膝を支えるため)
スタートポジション
- フラットベンチに片手と同じ側の片膝を乗せて、前傾姿勢をとり上半身を安定させます。
背筋は床と平行〜20°程度を目安とします。 - 反対側の足は、やや後ろへ引き床につけます。
やや後ろへ引くことでダンベルの軌道に干渉にくくなります。
ベンチについた手と膝・床につく足の三点で身体を安定させます。
安定性が悪いと身体もねじれやすくなり、背中の筋肉をうまく使うことができません。 - 背中をまっすぐに保ち軽く胸を張ります。
骨盤も床と並行で、背骨がまっすくなるようにします。
横から見ても前から見ても背中はまっすぐになるようにしましょう。 - もう片方の手でダンベルを持ち、腕は自然に下へ垂らします。
このとき、ダンベルを持った手側の肩はリラックスさせ肩を落とし、背中の筋肉がストレッチされた状態にします。


実施
- 肘を腰に向かって弧を描くように、ダンベルを引き上げます。
腕ではなく背中(広背筋)を使う意識で行いましょう。
ダンベルは体に沿わせるように引き上げ、脇を開きすぎないようにしましょう。
また、上半身は身体はひねらないように、水平を維持しましょう。


- ダンベルをゆっくりと元の位置まで下ろします。
このとき、背中の筋肉をしっかりストレッチさせます。 - 動作を繰り返す
反対側の手でも同様にバランスよく行いましょう。
ワンハンドローイングの回数とセット数の目安(初心者向け)
8〜12回 × 3セット(左右それぞれ) を目安に、フォーム重視・軽めの重量からスタートしてみましょう。
ワンハンドローイングのよくある間違い
ワンハンドローイングは一見シンプルに見える動作ですが、フォームが崩れやすく、間違ったやり方では効果が出にくい種目です。
以下に、よくある間違いをまとめていきます。
- ❌ 腕だけで引いてしまう
腕(特に上腕二頭筋)ばかり使ってしまい、背中に効かないという典型的なパターンです。
特に初心者は「腕を曲げてダンベルを上げる」と思いがちです。 - ❌ 腰を反りすぎたり背中が丸まっている
腰を反りすぎたり背中が丸くなると、腰への負担が増え、背中の筋肉もうまく働きません。 - ❌ 肘を外に開いてしまう
肘を外に開いてしまうと、負荷が背中ではなく腕や肩に逃げやすくなり、広背筋に効率的に負荷がかかりません。 - ❌ 背筋の角度が立ちすぎている
背筋が立ちすぎてしまうと、広背筋への刺激が弱まり、腕や僧帽筋上部に効いてしまう原因になります。 - ❌ ダンベルを勢い(反動)で引き上げる
反動で引き上げると、負荷が背中にかからず、フォームも崩れやすくなりケガの原因にもなります。 - ❌ 重力に任せて下ろしている
引いた後にダンベルを重力任せにストンと落とすように下ろしてしまうと、効果的な背中への刺激が得られません。 - ❌ 可動域が狭い
ダンベルを下ろす位置が浅かったり、引き上げる位置が不十分だと、広背筋の収縮・ストレッチをしっかり感じることができません。
動作の幅が小さいと、筋肉への刺激が十分に伝わらず、トレーニング効果が下がってしまいます。 - ❌ 体をひねるように使っている
可動域を大きく取ろうとするあまり、体をひねるように使うのはNGです。
背中へ刺激が入りづらくなり、効果が半減してしまいます。
さらに、腰や背中への負担が増えて怪我のリスクも高まります。
上半身はできるだけ水平を維持し、身体はひねらないようにしましょう。 - ❌ 体幹が安定していない
支える側の手や肩に頼りすぎてしまい、体幹の力をしっかり使えていない状態になると、体がブレやすくなります。
トレーニング効果が下がるだけでなく、肩や腰に余計な負担がかかり、怪我のリスクも高まります。
正しいフォームで動作中に体幹を安定させることが、効率よく安全に鍛えるためのポイントです。
ワンハンドローイングの効果を最大限に引き出すコツ
- 肩甲骨をしっかり動かす
ダンベルを引くときは、肩甲骨も寄せて肩を後ろに引くことも同時に行いましょう。
肩甲骨を寄せる → 開くという動きを意識することで、僧帽筋や肩回りの筋肉にも刺激を入れることができます。 - 腕ではなく「背中で引く」
特に初心者の方は、腕の力に頼りすぎて「腕で引いてしまう」フォームになりがちです。
このようなフォームでは、広背筋をはじめとする背中の筋肉に十分な刺激が入りにくくなってしまいます。
メインターゲットとなる広背筋の筋線維は、肩関節寄りの上腕骨から背中(中部~下部)・腰にかけて走行しています。


動作のイメージとしては、肘を後ろに引きながら、腰に向かって弧を描くようにダンベルを引き上げていきます。
背中の筋肉が「ぎゅっと収縮する」感覚を強く意識することがポイントです。

- ダンベルを握りこみ過ぎない
グリッブは強く握らず必要最低限の力に抑えましょう。
グリップに力が入りすぎると、前腕や腕の筋肉ばかり使ってしまい、背中に効かせにくくなってしまいます。
小指と薬指を重心に指の付け根でダンベルを引っ掛けるように引き上げると、背中で引く感覚がつかみやすくなります。
場合によっては、リストストラップやパワーグリップを活用するのもおすすめです。
背中トレーニングへ集中することができ、トレーニング効率もアップします。 - まっすぐ後ろに引く
「肘を後ろに引く」イメージで、肘を体のラインに沿って引き上げることで、広背筋を中心とした背中の筋肉を使う感覚が掴みやすくなります。
特に、肩や腕に力が入りすぎると肘が外側に開いてしまう場合があるので注意しましょう。
慣れるまでは、鏡で肘の動きがまっすぐ後ろを向いているか確認するといいでしょう。

- 背筋を真っ直ぐに保つ
背中が丸まったり反りすぎたりしないように、軽く胸を張って背筋をまっすぐ保つようにしましょう。
頭から腰まで一直線をキープ(鏡でフォーム確認すると◎)

- 背筋の角度は床と平行〜20°程度を目安とする
背筋が立ちすぎると広背筋に負荷が入りにくくなります。
背筋の角度は床と平行〜20°程度に保ちましょう。
適切な角度を保つことで、背中にしっかり効かせることができます。

- 反動を使わない・下ろすときはゆっくり
筋肉にしっかりと負荷をかけるためには、常に動作をコントロールする意識が欠かせません。
反動を使って勢いよく引き上げると背中への刺激が弱まるだけでなく、フォームが崩れやすくなりケガのリスクも高まります。
勢いに頼らず、「筋肉に効かせる」丁寧な動作を意識しましょう。
また、「引く動作」だけでなく、「下ろす動作(ネガティブ動作)」も丁寧に行うと、より高いトレーニング効果が期待できます。
重力に任せてダンベルを落とすのではなく、重力に逆らうように、ゆっくりと負荷を感じながら下ろすようにしましょう。
筋肉に効かせる意識を持って、スムーズかつコントロールされた丁寧な動作を心がけましょう。 - 可動域を大きく使う(背中の収縮・ストレッチを意識する)
ワンハンドローイングの効果を最大限に引き出すためには、背中の筋肉のストレッチ(伸び)と収縮(縮み)をしっかり感じながら動作することが重要です。
ダンベルを下ろすときは、肩を落とし背中のストレッチを感じるまでしっかり下げるようにしましょう。
特に、この「下ろす動作」で背中の筋肉をしっかりストレッチさせることが重要です。
引き上げるときは、ダンベルが脇腹に当たるくらいまで肘をしっかりと後方に引き切り、背中の収縮を強く感じましょう。
可動域を広く使うことで、広背筋を中心とした背中全体にしっかり刺激が入ります。
「筋肉を動かしている」という感覚を大切にしながら、丁寧でコントロールされたフォームを心がけましょう。 - 体をひねらない
可動域を大きく取ろうとするあまり、体をひねるように使うのはNGです。
背中へ刺激が入りづらくなり、効果が半減してしまいます。
さらに、腰や背中への負担が増えて怪我のリスクも高まります。
上半身は水平を維持し、身体はひねらないようにしましょう。

- 体幹を安定させる
ワンハンドローイングでは体がねじれないように体幹で支える必要があります。
支えている手や脚に頼りすぎず、腹筋・背筋など体幹の筋肉をしっかり使って、体全体の安定性を保つようにしましょう。
体の軸が安定すると、より背中の筋肉に集中して効かせることができ、フォームの乱れも防げます。 - ダンベルを引ききった位置で1〜2秒キープ(可能ならでOK)
必須ではありませんが、効果を高めるためのテクニックとして、「動作のフィニッシュで1~2秒停止する」という方法があります。
これにより、筋肉が負荷を受けている時間、いわゆる「タイムアンダーテンション(Time Under Tension/TUT)」が増加します。
TUTとは、筋トレ中に筋肉が緊張し続けている時間を指し、各セットや動作中に筋肉へ与える刺激の量に大きく関わります。
ただし、限界に近い重量ではトップでの静止が難しくなるため、比較的軽い重量で行う場合にこのテクニックを取り入れると効果的です。
まとめ
ワンハンドローイングは、背中を集中的に鍛えられるだけでなく、左右差の解消・姿勢改善・腰への負担軽減など、多くのメリットを持つトレーニングです。
正しいフォームを意識して行えば、初心者から上級者まで、どなたでも高い効果が期待できます。
特に筋トレ初心者の方は、今回ご紹介したポイント・注意点・コツを意識して、ケガなく安全に続けることが何より大切です。
継続することで、背中の筋肉が引き締まり、姿勢も良くなり、見た目も動きもグッと変わってくるはずです。
ぜひ、あなたのトレーニングメニューにも「ワンハンドローイング」を取り入れてみてください!
コメント