それぞれの特徴とメリット・デメリット、目的別の使い分けを解説!
「懸垂とラットプルダウンって、似たようなトレーニングだけど何が違うの?」
「結局どっちをやればいいの?両方やる必要あるの?」
トレーニングを始めたばかりの頃は、このような疑問を持つこともあるでしょう。
見た目は似た動きでも、負荷のかかり方・難易度・得られる効果には違いがあります。
「初心者はどちらから始めるべき?」「筋肥大に向いているのは?」「効かせやすいのはどっち?」
目的やレベルによっても最適な選択は変わります。
今回は、懸垂とラットプルダウンの特徴を整理し、それぞれのメリット・デメリットを比較しながら、自身に合った選択ができるようにわかりやすく解説していきます。
懸垂とラットプルダウンの違い
懸垂とラットプルダウンは、どちらも広背筋を中心に背中を鍛える“縦方向に引く”トレーニングです。
動作的には似たような種目ですが、特徴や効果には違いがあります。
懸垂とラットプルダウンの違い(比較表)
懸垂とラットプルダウンの主な違いを、まずは表で簡単に整理します。
| 項目 | 懸垂 | ラットプルダウン |
|---|---|---|
| 種目タイプ | 自重トレーニング | マシントレーニング |
| 負荷の特徴 | 基本は自体重(調整は可能) | 重量を細かく調整できる |
| 難易度 | 高い(初心者は難しい) | 比較的やさしい |
| フォームの安定 | 不安定になりやすい | 安定しやすい |
| 背中への効かせやすさ | やや難しい | 効かせやすい |
| 高負荷トレーニング | ◎(加重懸垂) | ○ |
| 初心者向き | △ | ◎ |
| トレーニング場所 | 自宅・公園・ジム | 主にジム |
🔴 懸垂の特徴

懸垂はバーにぶら下がった状態から、背中や腕の力で自分の体を引き上げる自重トレーニングです。
基本的には自分の体重がそのまま負荷となります。
※ただし、トレーニングチューブやマシンを使ったアシスト懸垂、ウエイトを追加した加重懸垂など負荷の足し引きは可能です。
そのため、自重トレーニングの中でも負荷が高く、不安定な体勢を自力で安定させながら動作を行う必要があります。
背中や腕の筋力だけでなく、体幹や肩回りの安定性も求められます。
適切に行えば非常に高いトレーニング効果が期待できる反面、トレーニングの難易度は高めです。
🔵 ラットプルダウンの特徴

ラットプルダウンは、専用マシンを使ってバーを上から引き下げる種目です。
軽い負荷から始めることができ、重量も細かく調整できます。
また、マシンに座った状態で脚の付け根付近を固定して行うため、懸垂に比べてフォームを安定させやすく、狙った筋肉(主に広背筋)に効かせやすいという特徴があります。
そのため、懸垂を行う前段階として、『背中を使う感覚を身につける』『基礎的な背中の筋力を高める』といった目的に利用することもできます。
無理なく安全に背中のトレーニングを始めたい初心者に適した種目といえます。
また、筋力的に不利となる女性や中高齢者にとっても取り組みやすいトレーニングです。
中~上級者にとっても、アタッチメントを変えることで背中の部位別に刺激を与えたり、ドロップセットなどで追い込みとして利用するなど、非常に有用性の高い種目です。
このように、初心者から上級者まで幅広く活用できるトレーニングといえます。
懸垂とラットプルダウンで鍛えられる筋肉
懸垂とラットプルダウンは、どちらも「縦方向に引く動作(プル系)」のトレーニングです。
メインで鍛えられる筋肉は広背筋であり、背中の広がりを作る重要な筋肉です。
また、動作をサポートする補助筋も基本的には共通しています。
主な違いは「安定させる筋肉の関与量」と「特定の筋肉の狙いやすさ」となります。
主に以下の筋肉が動員されます。

主働筋【メインターゲット】
- 広背筋
補助筋【補助的に使われる筋肉】
- 僧帽筋(中部・下部)
- 大円筋
- 菱形筋
- 上腕二頭筋
- 上腕筋
- 腕橈骨筋
- 前腕屈筋群(握力)
- 腹筋・脊柱起立筋(懸垂の方が強く関与)
🔴 懸垂で特に使われやすい筋肉
- 体幹(腹直筋・腹斜筋)
- 脊柱起立筋
- 肩周囲の安定筋(ローテーターカフなど)
懸垂は身体がバーにぶら下がった状態で行うため、体を安定させながら動作をコントロールする必要があります。
そのため、体幹や肩周囲の安定筋群がより強く働きやすいのが特徴です。
🔵 ラットプルダウンで意識しやすい筋肉
- 広背筋
- 僧帽筋下部
- 大円筋
マシンで姿勢が固定されるため、体を安定させる動作が少なくなります。
その分、背中の筋肉に集中的に刺激を入れやすいのが特徴です。
また、フォームやグリップを調整することで、背中の上部・下部などの狙い分けも行いやすいというメリットもあります。
懸垂とラットプルダウンのメリット・デメリット比較
これまでの内容(特徴・筋肉の使われ方)を踏まえたうえで、両者のメリット・デメリットを整理していきましょう。
🔴 懸垂のメリット・デメリット
🔴 懸垂のメリット
① 高強度で効率よく鍛えられる
自分の体重をそのまま負荷として扱うため、高強度で効率よく背中を鍛えることができます。
さらに、ウエイトを追加する加重懸垂を行えば、体重以上の負荷をかけることも可能です。
上級者でも強度を高め続けることができます。
② 安定筋群を含めて鍛えられる
ぶら下がった状態で身体を安定させる必要があるため、背中だけでなく体幹や肩周囲の安定筋も多く動員されます。
③ 全身のコントロール能力が向上する(スポーツパフォーマンスの向上にもつながる)
動作を安定させるためには主動筋と補助筋の連動が重要となります。
筋力だけでなく、身体をコントロールする能力(全身の連動性・姿勢制御能力・バランス感覚)の向上も期待できます。
より実戦的な“引く力”が身につきやすく、スポーツパフォーマンスにもつながりやすくなります。
④ 器具が少なくて済む
バーがあれば実施可能です。
自宅トレにも取り入れやすい種目といえます。
🔴 懸垂のデメリット
① 初心者には難易度が高い
まず、自分の体重を引き上げるだけの筋力がないと、1回もできないこともあります。
また、不安定な体勢を自力で安定させて行う必要があるため、フォームの維持が比較的難しく初心者にとっては難易度が高い種目といえます。
② 負荷調整がやや難しい
基本的に負荷は体重依存です(加重・補助は可能)。
そのため、ラットプルダウンのように細かく重量を調整することは難しく、段階的な負荷設定がしにくい傾向があります。
ただし、以下の方法で負荷を調整することは可能です。
【負荷を上げたい場合】
- 重りの入ったリュックを背負う
- ウエイトベストを着用する
- ディッピングベルト(加重ベルト)の使用
これらにより、体重以上の負荷をかけることもできます。
【負荷を軽くしたい場合】
- ネガティブ懸垂を行う
- アシスト懸垂マシンの利用
- トレーニングチューブを足に掛けて補助として使う
このような方法で懸垂をサポートすることも可能です。
③ フォームが崩れやすい
懸垂はラットプルダウンに比べ、身体を安定させることが難しく、反動を使う・肩がすくむなど、誤ったフォームになりやすい傾向があります。
正しいフォームを意識しないと、背中ではなく腕にばかり負荷がかかってしまうこともあります。
🔵 ラットプルダウンのメリット・デメリット
🔵 ラットプルダウンのメリット
① 重量を細かく調整できる
ラットプルダウンは、ウエイトピンを差し替えるだけで重量を変更できるため、軽い重量から段階的に負荷を上げていくことができます。
そのため、初心者でも無理なくトレーニングを始めやすく、筋力を伸ばしていきやすい種目です。
また、負荷を素早く変更できるため、徐々に負荷を下げていくドロップセットのようなトレーニングテクニックも実施しやすく、筋肥大を狙う際のバリエーションが広がります。
懸垂では難しい「細かい負荷調整」ができる点は、ラットプルダウンならではの大きな強みといえます。
② 軽い負荷から始められる
非常に軽い負荷から始めることができるため、初心者でも安心して取り組めます。
自分の筋力に合わせて無理なくトレーニングできるため、フォームが崩れにくく、安全に継続しやすいという利点があります。
軽い負荷で動作を安定させながら『背中の筋肉を使う感覚』を身につけられるため、トレーニング経験が少ない人でも取り組みやすく、継続しやすくなります。
③ フォームの安定性が高い(フォーム習得がしやすい)
座った状態で太ももをパッドで固定して行うため、懸垂と比較すると自力での姿勢制御の要求は低くなります。
また、負荷を筋力に合わせて調整できるため、フォームを安定させやすい傾向があります。
反動が使いにくく、バーの軌道も安定しやすいため、初心者が背中の正しい使い方やフォームを習得する際に適しています。
④ 狙った場所に効かせやすい
適切な負荷設定とフォームの安定性により、広背筋など狙った筋肉に意識を向けやすく、懸垂と比べて目的の部位に集中的に刺激を加えやすいという特徴があります。
また、バーやアタッチメント、グリップ幅を変えることで、背中の上部・下部など刺激の入り方を調整しやすい点も特徴です。
⑤ トレーニングボリュームの管理が容易
重量を細かく調整できるため、回数やセット数と合わせてトレーニングボリューム(重量 × 回数 × セット数の総負荷量)を管理しやすいという特徴があります。
ラットプルダウンは、負荷を多段階・容易・スピーディーに変更できるため、負荷調整が簡単です。
筋肥大では総負荷量を計画的に積み上げることが重要なため、こうした負荷調整のしやすさは大きなメリットとなります。
⑥ 安全性が高い
ラットプルダウンは、限界まで追い込んでも懸垂のように落下のリスクがなく、安全性の高い種目です。
また、座った状態で太ももをパッドで固定して行うため、懸垂と比べて動作が安定しやすく、無理なフォームになりにくいという特徴があります。
さらに、負荷を軽く設定することもできるため、肩や肘に不安がある場合でも無理なくトレーニングを行いやすいという利点があります。
🔵 ラットプルダウンのデメリット
① 安定筋群への刺激は少なめ
太ももを固定するため、自力での姿勢制御の要求は低くなります。
懸垂に比べて体幹や肩周囲の安定筋群の関与は少なくなる傾向があります。
② マシン環境が必要
ラットプルダウンは専用マシンを使用するトレーニングのため、基本的にはジムで行う種目となります。
自宅トレーニングでは取り入れにくいというデメリットがあります。
③ 自重コントロール能力は向上しにくい
懸垂では、体を引き上げるための背中や腕の筋力に加えて、体幹や肩甲骨周りなど多くの安定筋群の役割も重要になります。
一方、ラットプルダウンは姿勢が安定した状態で行うため、自分の体をコントロールする能力の向上にはつながりにくいという側面があります。
そのため、ラットプルダウンで筋力が向上しても、必ずしも懸垂のパフォーマンス向上に直結するとは限りません。
目的別:懸垂とラットプルダウンの最適な使い分け
冒頭で触れた
「懸垂とラットプルダウン、どっちをやればいいの?」
「両方やる必要はあるの?」
という疑問に対して
結論としては、どちらか一方ではなく、”可能であれば両方取り入れるのが理想”です。
両種目にはそれぞれメリット・デメリットがあり、特性が異なるため、組み合わせることでより幅広い刺激を得ることができます。
それぞれの特性を理解して取り入れることで、背中の筋肥大・筋力向上・スポーツパフォーマンスの向上など、目的に応じた効果を引き出すことができます。
その前提を踏まえたうえで、「目的別にどちらを優先すべきか」を整理していきます。
懸垂とラットプルダウン / 目的別にどちらを優先すべきか
| 目的 | おすすめ |
|---|---|
| 筋力アップ | 懸垂(ただし段階的に行う) |
| 筋肥大 | 初心者 ⇒ ラットプルダウン 中級~上級者 ⇒ どちらも有効(両方やるのがベスト) |
| スポーツ・身体的パフォーマンスの向上 | 懸垂 |
| 初心者 | ラットプルダウン |
| 女性・中高年 | ラットプルダウン |
| 自宅トレ | 懸垂 |
| ジムトレ | ラットプルダウン / 懸垂+ラットプルダウン(併用) |
1. 筋力アップ
懸垂がおすすめ(ただし段階的に行う)
懸垂は自体重(ほぼ全体重)を負荷として利用するため、高強度で背中を鍛えることができます。
さらに、ウエイトを追加する加重懸垂を行えば、体重以上の負荷をかけることもでき、上級者でも強度を高め続けることが可能です。
ただし、筋力が不十分な状態では、「懸垂が1回もできない」「正しいフォームを維持できない」などの問題が生じるため、各々のレベルに合わせて、段階的に負荷をあげていく方法がおすすめです。
一例ではありますが、強度を段階的に高めていく場合、次のようなステップで進める方法があります。
① ラットプルダウン(軽負荷から徐々に負荷を上げていく)
↓
② ネガティブ懸垂 または バンド(アシスト)懸垂
↓
③ 通常の懸垂
↓
④ 加重懸垂
このように、まずはフォーム習得と筋力の土台づくりを行い、徐々に自体重・高負荷へ移行していくことで、安全かつ効率的に懸垂の強度を高めていくことができます。
2. 筋肥大(背中を大きくしたい)
初心者 ⇒ ラットプルダウンがおすすめ
中級~上級者 ⇒ どちらも有効(両方やるのがベスト)
ラットプルダウンには、次のような特徴があります。
- 重量を細かく調整でき、自身のレベルに合った負荷で行いやすい。
- トレーニングボリューム(重量 × 回数 × セット数の総負荷量)の管理が容易で、筋肥大向けの刺激を作りやすい。
- フォームが安定しやすく、狙った筋肉に負荷を乗せやすい
- 広背筋に“効かせる”感覚を掴みやすい。
ただし、ラットプルダウンは自重以上の高負荷を扱う点では懸垂より難しいという側面があります。
一方、懸垂は体幹や腕肩回りなどの安定筋も強く関与するため、ラットプルダウンより背中への負荷が分散しやすいという側面があります。
しかし、通常懸垂 → 加重懸垂と発展させることで、自体重以上の高負荷を扱うことができ、高強度トレーニングが可能になります。
中級〜上級者にとっては、筋肥大に必要な高負荷を確保しやすいというメリットがあります。
そのため、懸垂を正しいフォームで問題なく行える中級〜上級者であれば、「懸垂で高負荷の刺激を与え、ラットプルダウンで狙った部位を丁寧に追い込む」という組み合わせが効果的です。
このように、「高負荷」と「効かせる刺激」の両方を取り入れることで、背中の筋肥大をより効率的に進めることができます。
3. スポーツ・身体的パフォーマンスの向上
懸垂がおすすめ
懸垂は背中だけでなく、体幹・肩周り・前腕など多くの安定筋群を同時に使います。
そのため、全身を連動させる動きが必要になり、身体をコントロールする能力(身体操作能力)を高めやすいという特徴があります。
また、スポーツで重要な「身体を思い通りに動かす力」「より実戦的な引く力・支える力」が身につきやすく、パフォーマンスの向上につながりやすくなります。
このように懸垂は、「筋肥大」だけでなく「身体操作能力の向上」という観点でも優れたトレーニングといえます。
4. 初心者
ラットプルダウンから始めるのがおすすめ
初心者の場合、まずはラットプルダウンで基礎を作る(背中の筋肉を使う感覚を覚える・正しいフォームで安定して行えるようになる・自分に合った負荷で基礎となる筋力を向上させる)のが効果的です。
これらが身につくと、懸垂の動作がスムーズになり、フォームの崩れやケガのリスクも減らすことができます。
そのため、ラットプルダウンで基礎を作り、次のステップとして懸垂に挑戦していく流れがおすすめです。
5. 女性や中高年層
ラットプルダウンがおすすめ
筋力や関節の安定性の面で不利となりやすい女性や中高年層は、ラットプルダウンのように負荷を細かく調整でき、フォームが崩れにくい種目で行う方が安全です。
一方で、筋力が十分にある人やトレーニング経験が豊富な人であれば、懸垂に挑戦するのももちろん有効です。懸垂は全身の連動性や体幹の安定性も鍛えられるため、より総合的なトレーニング効果が期待できます。
6. 環境による使い分け(自宅 or ジム)
トレーニング環境によって種目を使い分けることも重要です。
■ 自宅中心のトレーニング ⇒ 懸垂
懸垂はチンニングバーがあれば行えるため、自宅トレーニングでも取り入れやすい種目です。
特別なマシンがなくても、十分に背中を鍛えることができます。
■ ジム中心のトレーニング ⇒ ラットプルダウン or 懸垂+ラットプルダウン(併用)
ジムではラットプルダウンマシンが使えるため、負荷調整をしながら背中を効率よく鍛えることができます。
また、懸垂とラットプルダウンを組み合わせることで、高負荷と効かせる刺激の両方を取り入れたトレーニングも可能です。
まとめ
懸垂もラットプルダウンも、どちらも優秀な背中のトレーニングです。
両種目の特性を理解したうえで適切に使い分けることで、背中の筋肥大・筋力向上・パフォーマンス改善など、目的に応じた最適なトレーニングが可能になります。
また、それぞれメリット・デメリットがあり得られる刺激や特性が異なるため、可能であれば双方を組み合わせて取り入れることで、より幅広い効果を得ることも期待できます。
最後にもう一度、簡単に整理しておきます。
🔴 懸垂がおすすめの目的
- 高負荷でトレーニングしたい
- 筋力を向上させたい
- スポーツ・身体的パフォーマンスの向上を目指したい
- 自宅(ジム以外)でトレーニングを行いたい
🔵 ラットプルダウンがおすすめの目的
- 懸垂ができるようになりたい(懸垂がまだ1回もできない)
- 背中の筋肉を使う感覚をつかみたい(正しいフォームを覚えたい)
- 重量を調整しながら安全に鍛えたい
- 背中の筋肉を集中的に鍛えたい
- トレーニングボリュームを計画的に管理し、筋肥大を目指したい
- ジムでトレーニングを行う場合



コメント