ダンベルショルダープレスで肩を鍛えよう!
ショルダープレスは、主に肩(三角筋)を鍛えるトレーニングです。
特に、三角筋の前部と中部が効果的に鍛えられます。
主働筋(メインで使われる筋肉)
三角筋(特に前部と中部)
協働筋(サポートする筋肉)
上腕三頭筋(二の腕の後ろ側)
僧帽筋上部(首の付け根〜肩)
前鋸筋や棘上筋などの肩周りの安定筋群

男性にとっては立体的な肩の厚み・ボリュームが得られ、ガッチリとした逆三角形の体型を強調する効果があります。
女性にとっては、肩周りを引き締め、メリハリのある美しいラインを作る手助けとなります。
男女問わず魅力的な体型を実現するための有益なトレーニングとなります。
さらに、肩の筋肉はスポーツ競技や日常生活の動作を支える上で重要な役割を果たしています。
肩回りを鍛えることで、肩関節の安定性が向上し、肩こりの解消や怪我の予防、スポーツのパフォーマンスアップにもつながります。
また、三角筋は上半身の中では最も大きな筋肉となります。
大きな筋肉を鍛えることで基礎代謝が上がり、太りにくく痩せやすい体質になることも期待できます。
今回は、そんな鍛えるメリットの多い肩(三角筋)のトレーニング、ショルダープレスの基本的な方法から効果的なトレーニングのコツまで、初心者向けにできるだけ分かりやすく詳しくご紹介したいと思います。
ダンベルショルダープレスの方法
スタートポジション
1.座って行う場合は、アジャスタブルベンチの角度を、直角から僅かに傾斜をつける程度(約75~90度の範囲)に設定します。
(初心者の場合は、わずかに傾斜をつける75~80度程度から始めることをお勧めします。)

2.ダンベルを両手に持ち、ベンチに腰掛け、膝に近い太ももの上に立てておきます。
3.ニートスでダンベルを肩の高さまで上げ、手のひらは前方(または少し内向き)に向けます。
オンザニー(ニートス)についてはこちらをご参照ください。
4.足幅は肩幅程度に開き、しっかりと地面に固定します。
5.ブリッジは作らず背筋を伸ばして、ベンチに深く腰掛け、背もたれに背中全体をつけます。

実施
6.息を吸いながら肘を伸ばし、ダンベルを頭上まで押し上げます。

7.息を吐きながら、ゆっくりとスタートポジションに戻します。
ダンベルショルダープレスのコツおよび注意点
ウォームアップとストレッチ
肩関節は自由度が高い代わりに、安定性が悪く怪我の頻度が高い部位でもあります。
怪我を防ぐためにも、ダンベルショルダープレスを行う際には、ウォーミングアップ(動的ストレッチを入れる)を行ってから、メインセットに取り組むことをお勧めします。
怪我の予防だけでなく、筋肉を温めることでパフォーマンスの向上につながり、可動域を確保することでトレーニング効果を高めることが期待できます。
また、トレーニング後や入浴後には静的ストレッチで肩まわりの柔軟性を確保しておくと怪我の予防に効果的です。
静的ストレッチは副交感神経優位な状態にする作用がありリラックス効果が得られ、筋肉をほぐし血流を促進することで疲労回復を促す効果も期待できます。
ダンベルショルダープレスの体勢(座位・立位)
基本的にはアジャスタブルベンチに座って行うことが多いのですが、立位で行うこともできます。
それぞれメリット・デメリットがあります。
座位で行うダンベルショルダープレス
(トレーニングベンチ使用)
メリット
安定性が高い
背もたれがあるため、体を安定させやすく、初心者でも比較的安全にトレーニングが行えます。
肩への負荷の集中
身体を固定して安定させるため、肩の筋肉に集中してトレーニングができます。
反動の使用を防ぐうえでも有効です。
デメリット
体幹の関与が少ない
身体をトレーニングベンチに固定するため、体幹の筋肉を鍛える効果は低くなります。
立位で行うダンベルショルダープレス
メリット
体幹の強化
自立により体幹を安定させる必要があるため、腹筋や背筋などの体幹も鍛えられます。
全身の連動性
下半身から上半身まで力を連動する動作となるため、全身の筋力向上につながります。
スポーツパフォーマンス向上
全身の力を連動してウエイトに伝え挙上させるため、競技特有の動作に近いトレーニングとなります。
デメリット
フォームの維持が難しい
自力で体幹を安定させる必要があるため、初心者にはフォームの維持が難しい場合があります。
怪我のリスク
腰が反りやすく、怪我のリスクが高まる可能性があります。
また、フォームの崩れにより肩への負担が増す恐れもあります。
以上のことより
- 体幹も含め鍛えたい方やスポーツパフォーマンスの向上を目的とする場合 ⇒ 立位
- ボディメイクなどで肩の筋肉に集中したい場合 ⇒ 座位
がおすすめです。
また、初心者の方は安定性が高く、ケガのリスクを抑えることができるアジャスタブルベンチを使用した座位で行うことをお勧めします。
アジャスタブルベンチの角度(約75~90度の範囲)
トレーニングベンチの背もたれの角度は75〜90度の範囲を目安に設定します。
傾斜の付け方によっても効果が変わります。
🔹 わずかに傾斜をつける(75~80度)場合
メリット
- わずかに傾斜があることで、肩や腰への負担が軽減する。
- 肩関節の可動域が広がり、より深く下ろしやすい人もいる。
- 胸筋(上部)にもわずかに刺激が入る。
デメリット
- 三角筋全体の負荷がやや減り、大胸筋上部の関与が増える。
- 三角筋の負荷も前部への負荷の割合が増え、三角筋中部への負荷が弱くなる。
🔹 90度(直角)に近い場合
メリット
- 垂直に近くなると、三角筋(前~中部)への直接的な負荷をかけやすくなる。
- コア(腹筋や背筋)の関与が増えるので、体幹の強化にも少しつながる。
デメリット
- 垂直に近くなると腰も反りやすくなり、背中や腰に負担がかかりやすい。
- 肩への負荷が集中すること、さらに可動域の上でも無理を生じやすく、肩への負担が大きくなり怪我のリスクも増える傾向にある。
以上のことより
- 肩をメインにしっかり鍛えたいなら → 直角に近い角度(90度付近)
- フォームの安定性や安全性を優先したい、肩の柔軟性に不安がある場合 → 少し傾斜をつける(75~80度程度)
がおすすめとなります。
✅ 初心者の場合は、少し傾斜をつける75~80度程度から始めることをお勧めします。
安定感を得られ、怪我のリスクも抑えられるので、フォームの修正や筋力の向上初期段階に最適です。
まずは少し角度をつけてた状態(75〜80度)から始め、フォームが安定してきたら徐々に角度を変化させながら、筋肉への刺激の感じ方をチェックするのがおすすめです。
ただし、慣れた方でもわずかに傾斜をつける方が重量を扱いやすく、安全かつ効率よく追い込めるという人もいます。
実際に試してみて、「肩に効いてる!」と感じる角度がその人にとってのベストなので、各々自分に合った角度を探してみるといいでしょう。
ダンベルの持ち方
手首に近い位置にある、母指球・小指球にダンベルのシャフトを乗せると手首への負担が少なくて済みます。

手首は握りこみすぎない、寝かせすぎないようにしましょう。
手首を痛める原因となります。

手首を保護するリストラップをしておくと怪我の予防になります。
個人的におすすめしたいアイテムの上位に入るトレーニングギアです。
肩甲骨は寄せず開かず、自然な位置を保つ
背中が丸まったり、肩が前に出る、いわゆる巻き肩の状態では、上腕三頭筋など肩以外の筋肉に負荷が分散されやすくなり、効率的に肩に負荷をかけることが難しくなります。
また、正しい姿勢が維持できないことで怪我のリスクが高くなる可能性ががあります。
しかし、ダンベルプレスのように肩甲骨を寄せて胸を突き出すようにしっかり胸を張ってしまうと、今度は胸の筋肉の関与が強くなってしまいます。
ショルダープレスでは、肩甲骨は「開く」でも「寄せる」でもなく、フラットで自然な位置を保つようにします。
姿勢を正す感覚で、肩が前に出ないようにしつつ、胸を張りすぎないようにしましょう。
背中全体をシートにつける(ブリッジは作らない)
背中全体をシートにつけて、ブリッジは作らないようにしましょう。
胸のトレーニングであるダンベルプレスやインクラインダンベルプレスに慣れていると、しっかりと胸を張る癖がついてしまいます。
しかし、ショルダープレスで狙うのは肩の筋肉(三角筋)です。
ブリッジを作ると胸の筋肉の関与が強くなり三角筋を効果的に鍛えられないうえに、腰への負担が大きくなる可能性があります。
ベンチに深く腰掛け、背中を反らさず、背中全体をベンチにつけるように背筋を伸ばし、姿勢を安定させます。
立位で行う場合も、腰が反らないように注意しましょう。

スタートポジションでは肩関節よりも肘を前に置く
スタートポジションでは、肘の位置は肩関節の真横から少し前方(10〜20度前)に置きます。

肘の位置を肩関節の真横から少し前方に置く理由には、以下の点があげられます。
肩関節のケガ防止
肩関節は可動域が広い反面、安定性が悪くケガの発生が高い部位です。
ダンベルを下ろしたときに、胸を開きすぎて肘の位置が肩関節より後方にくる(いわゆるバックブレスの状態となる)と肩関節や回旋筋群(ローテーターカフ)に過度な負担がかかり、怪我や損傷を引き起こしやすい状態となります。
ローテーターカフとは
ローテーターカフは以下の4つの筋肉で構成されています。
1.棘上筋
2.棘下筋
3.小円筋
4.肩甲下筋

これらの筋肉は肩甲骨から上腕骨に付着しており、肩関節の動きと安定性を保つ役割を果たしています。
ローテーターカフは肩の様々な動きを制御し、特に肩を回転させる動作や上腕を持ち上げる動作において重要です。
この筋肉群がしっかりと機能することで、肩関節の怪我を防ぎ、スポーツや日常生活の動きを支えます。
自然な動作と動作の安定性
肘の位置を肩関節の真横から少し前方に置くことで、ダンベルショルダープレスの動作がより自然な形となり、全体的な動作が安定し、重量をコントロールしやすくなります。
安定したフォームは、効果的なトレーニングと怪我の防止に不可欠です。
力の伝達の最適化
肘の位置を肩関節の真横から少し前方に置くことで、力の伝達がスムーズになり、より効率的に筋力を発揮できます。
三角筋前部・中部が最大限に力を発揮し、三角筋の強化に効果的なトレーニングが可能となります。
肘の位置を前に出し過ぎる(いわゆるフロントブレスの状態となる)と三角筋中部への刺激が弱くなり三角筋前部中心の刺激、そして上腕三頭筋の関与が増していきます。
三角筋をターゲットとする場合は、肘の位置は肩関節の真横から少し前方(真横より10〜20度前)とするといいでしょう。

ダンベル(手のひら)の向きは、真正面でも構いませんが、肘がやや前方になるように構える分、少し内向き「ハの字」に構えるとより自然な形となります。
ダンベルの軌道
ダンベルは、「頭の上で近づく」 ように、やや内側に弧を描くように上げていきます。
勢いや反動を使わないのがポイントです。
下げるときは、上げた軌道をそのまま逆にたどるように、ゆっくりコントロールしながら下ろしましょう。

ダンベルショルダープレスはバーベルと違ってバーを頭の前や後ろに下ろす必要がありません。
90度に近い座位や立位で行う場合は、頭の側面(耳横あたり)に下ろすようにすると肩(三角筋前〜中部)に負荷をかけやすくなります。
ただし、軌道は肩関節の真上へ挙上するように行いますので、イスの角度を倒すにつれて下ろす位置も少し前方へと移動させるようにしましょう。
無理に深く下ろしすぎない
ボトムでは、ダンベルのグリップ部分(こぶし)が、耳と同じ高さ~耳より少し下(耳たぶくらい)を目安に下ろすといいでしょう。
肘が肩と同じ高さから少し下になる程度で十分です。
無理に深く下げてしまうとフォームが崩れて、関節や腱、他の部位に負担がかかってしまいます。
トップでは肘を完全に伸ばし切らない
トップでは肘を完全に伸ばすと関節がロックしてしまい負荷が抜けてしまいます。
ひじが伸びきる直前で動作を切り返すことで、筋肉に継続的な負荷をかけることができます。

トップでは無理にダンベルを寄せる必要はありません。
ダンベルを持ち上げる際には、肩がすくまないようにしましょう。
また、腰が反らないようにコア(腹筋・お尻)にも力を入れましょう。
頸反射を利用する
「頸反射(けいはんしゃ)」を利用したショルダープレスのテクニックは、フォームの安定性と筋出力アップに効果的です。

そもそも「頸反射(けいはんしゃ)」とは?
頸反射は、首の動きに連動して身体の筋肉の緊張や反応が変わるという神経反射の一種です。
うまく使えば、筋トレのフォーム安定化や出力向上につながります。
ダンベルショルダープレスでの頸反射の使い方
ダンベルの動きと頸の動きは逆にします。
具体的には、ダンベルを上げるときは顎を軽く顎を引いて目線を少し下げ、おろすときは軽く頸を上げ目線を少し上げます。
ダンベルを「上げるとき」
- 顎を引く
- 視線は少し下を見る
- 首筋をベンチに押しつける感覚
身体が安定し、肩に力が入りやすくなります。

ダンベルを「下ろすとき」
- 顔をやや上げる(ただし、顎を突き出ないように注意する)
- 視線は少し上を見る
胸が開きやすくなり、可動域が広がります。
また、動作の安定化にもつながります。

動きのパターンをまとめると
フェーズ | 首の動き | 視線 | 効果 |
---|---|---|---|
ダンベルを上げる | 顎を引く | 斜め下 | 力が入りやすい、身体が安定 |
ダンベルを下ろす | 少し顔を上げる | 斜め上 | 胸が開き、可動域が広がる |
反射のため無意識に行っていることも多いのですが、意識的に感覚を掴みたい場合は軽めの重量で確認を行なうといいでしょう。
動作のコントロール(反動を使わない・下すときはゆっくり)
コントロール重視で、反動を使わないようにしましょう。
ダンベルを下すときは、重力に逆らうようにゆっくりと負荷を感じながら下ろすと効果的です。
意識的に上げる動きを少し速く(1秒程度)、下ろす動きはゆっくり(3秒程度)で行うといいでしょう。
適切な重量選び
ショルダープレスはコンパウンド種目であり、比較的高重量を扱いやすい種目です。
ただし、ダンベルトレーニングは左右それぞれでバランスを取らなければならないため、安全にトレーニングを行うためにもフォームには気を付けるようにしましょう。
特に肩関節は非常に大きな可動域を持つ反面、怪我の発生も多い非常にデリケートな部位です。
無理なフォームでトレーニングを続けると、すぐに肩を痛めてしまいます。
初心者はフォームを覚えるまでは、確実にコントロールできる範囲の重量を選びましょう。
しっかりと重量を扱うようになるのは、安定して行えるようになってからです。
ダンベルを下すときに息を吸い、上げるときに息を吐く
適切な呼吸は力を発揮しやすくし、安定性を高めます。
呼吸はダンベルの動きに合わせて行います。
ダンベルを下すときに息を吸い、上げるときに息を吐きます。

つい無意識に呼吸を止めがちですが、トレーニング中は呼吸を止めないようにしましょう。
呼吸を止めると血圧が上昇し、心臓や血管に負荷がかかる恐れがあります。
また、呼吸を止めずに行うことで筋肉への酸素供給が向上し、疲労の蓄積を防ぐ効果が期待できます。
まとめ
肩は筋力トレーニングにおいて特に怪我のリスクが高い部位です。
怪我を防ぐためには、正しいフォームを維持し、適切な重量と回数でトレーニングを行うことが重要です。
さらに、継続的なトレーニングにより肩周りの筋肉が強化され、怪我に対する耐性を高めることもできます。
まずは軽い負荷でフォームを確立し、徐々に負荷を増やしていくことで、安全かつ効果的にトレーニングを進めていきましょう。
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