初心者でも取り組みやすい!全身法のメリットと実践方法
筋トレには、1回のトレーニングで全身をまとめて鍛える「全身法」と、胸・背中・脚など部位ごとに日を分けて鍛える「分割法」があります。
全身には多くの筋肉があるため、1回で全身すべてを鍛えようとすると、種目数が増え、トレーニング時間も長くなりがちです。
そのため、「全身法をやったことがない」という方も多いのではないでしょうか。
全身法を行ったことがない方にとっては、「1日で全身を鍛えられるのか?」「時間が長くなりすぎないか?」「体力がもつのか?」といったハードなイメージを持つ方も少なくありません。
しかし、メニューの組み方や種目数を調整すれば、初心者でも無理なく取り組める非常に効率の良いトレーニング方法といえます。
そこで今回は、全身法の特徴やメリット・デメリットをはじめ、初心者向けの具体的なメニュー例や実践時の注意点まで、わかりやすく解説していきます。
全身法とは?
「全身法(フルボディトレーニング)」とは、1回のトレーニングで全身の主要な筋群を幅広く鍛える方法のことです。
一度のトレーニングで主要な筋肉をまんべんなく刺激できるため、筋トレ初心者や、忙しくてトレーニング頻度を確保しにくい人にとって、効率の良いトレーニングスタイルといえます。
近年では、筋肉へ刺激を与える頻度を高めやすいことから、中〜上級者からも改めて注目されているトレーニング方法です。
全身法のメリット・デメリット
全身法のメリット
① トレーニング頻度を確保しやすい
② 疲労が分散される
③ 高品質なトレーニングを積み重ねやすい
④ 筋肉の成長につながりやすい
⑤ 脂肪燃焼効果が高い
① トレーニング頻度を確保しやすい
筋肉を成長させるためには、継続的に刺激を与えることが重要です。
筋肉は、一度鍛えただけでは大きく成長しません。
継続的に刺激を与えることで、少しずつ発達していきます。
全身法は、1回のトレーニングで全身を刺激できるため、忙しくてトレーニング回数を確保しにくい人でも、各筋肉への刺激頻度を維持しやすいという特徴があります。
② 疲労が分散される
全身法には、特定の部位に過度な負荷が集中しにくいという特徴があります。
そのため、筋肉や関節への負担を調整しやすく、疲労によるフォームの乱れやケガのリスクを抑えやすくなります。
また、1回のトレーニングで各部位への刺激量が適度に分散されるため、局所的な疲労が蓄積しにくく回復が早いというメリットがあります。
結果として、比較的短い間隔で次回のトレーニングを行いやすくなります。
③ 高品質なトレーニングを積み重ねやすい
全身法は、特定の部位だけに負荷を集中させすぎないため、局所疲労を抑えやすいという特徴があります。
その結果、各セットのパフォーマンスを維持しやすく、高品質なトレーニングを積み重ねやすい傾向があります。
週単位で計算すると、より高い総負荷量を確保できる可能性もあります。
特に中級者以上では必要ボリュームが増えるため、高頻度トレーニングによる恩恵を受けやすく、停滞打破や筋肥大の再加速につながるケースもあります。
トレーニングと筋肉(1部位)に対する疲労・損傷の関係のイメージ図


④ 筋肉の成長につながりやすい
筋肉を大きくするためには、十分なトレーニング量を確保することが重要です。
また、筋肉へ刺激を与える頻度も筋肥大に影響すると考えられており、一般的には週1回よりも週2回以上刺激した方が筋肥大に有利とされています。
実際に全身法と分割法で筋肥大効果を比較した研究があります。
トレーニング経験のある男性20名を対象に、週1回ずつの部位別分割トレーニングと週3回の全身トレーニングを比較し、筋肥大や筋力向上への影響を調査。
【結果】
全身法の方が一部の筋肉で高い筋肥大効果が確認された。
一方で、筋力向上には大きな差は見られなかった
【結論】
この研究では、筋肉を週に複数回刺激する「高頻度トレーニング」の方が、筋肥大に有利である可能性がある。
特に全身法は、各筋肉を高頻度で刺激しやすいため、筋肉を効率よく成長させやすい可能性がある。
【補足的な示唆】
筋肥大は「週あたりの刺激回数」に影響を受けやすい。
一方、筋力は「総ボリューム」や「強度」の影響が大きく、頻度の影響は小さい可能性がある。
引用
Checking your browser – reCAPTCHA
また、トレーニング頻度に関する研究もあります。
筋トレの頻度が筋肥大にどれだけ影響するのかを、複数の研究をまとめて検証・分析
【結果】
同じトレーニング量で比較した場合、頻度の多いトレーニングの方が筋肥大に有利となる傾向が確認された。
特に、週1回よりも週2回以上筋肉を刺激した方が、筋肥大効果が高い可能性が示された。
【結論】
現在のエビデンスからは、筋肥大を最大化するには、各筋肉群を最低でも週2回は鍛えるべきと考えられる。
ただし、週3回が週2回よりさらに優れているかについては、まだ十分な証拠がない。
引用
Checking your browser – reCAPTCHA
こうした研究からも、全身法のように各筋肉を複数回刺激しやすいトレーニング方法は、筋肥大と相性が良いと考えられています。
⑤ 脂肪燃焼効果が高い
全身法は、一度に多くの筋肉を使うため、消費カロリーが高くなりやすいという特徴があります。
そのため、筋肥大だけでなく、脂肪燃焼やダイエット目的のトレーニングとも相性が良いとされています。
ただし、脂肪を減らすには食事の管理や基礎代謝を含めた総消費カロリーも大きく関わるため、トレーニングだけで体脂肪が大きく減るわけではないことに注意しましょう。
全身法のデメリット
① 1回のトレーニング時間が長くなりやすい
② 筋肉への細かいアプローチがしづらい
③ トレーニングメニュー管理がやや難しい
④ トレーニングの満足度が得にくい場合がある
① 1回のトレーニング時間が長くなりやすい
全身法は、1回のトレーニングで全身を鍛えるため、種目数が増えやすく、トレーニング時間が長くなる傾向があります。
特に、ベンチプレス・スクワット・デッドリフトなど、高負荷のコンパウンド種目を中心に行うことが多く、ウォームアップやインターバルにも時間がかかりやすくなります。
さらに、分割法のように特定の部位をとことん追い込む事をしないため、「どこまで行えば十分なのか」の判断が難しく、結果としてトレーニング時間が長引いてしまうケースもあります。
② 筋肉への細かいアプローチがしづらい
全身法では、1回のトレーニングで全身を細かく鍛えようとすると、どうしても時間が長くなってしまいます。
現実的には、1部位あたり1〜2種目程度で構成されることが多くなります。
このように、全身法は1回のトレーニングで全身を広く刺激していくスタイルとなるため、特定部位への細かいアプローチはやや行いにくい傾向があります。
全身法は、1回で全身を完璧に仕上げるというよりも、複数回のトレーニングを重ねながら、全身をバランスよく発達させていくトレーニング方法といえます。
そのため、弱点部位を重点的に鍛えたい中〜上級者では、分割法が選ばれるケースもあります。
③ トレーニングメニュー管理がやや難しい
全身法は、複数回のトレーニングを重ねながら、全身をバランス良く鍛えていくスタイルです。
数回にわたって種目の組み立てを行い、鍛え残しやムラがない様にしなければなりません。
そのため、トレーニングメニューの作成と管理がやや複雑となりやすい傾向があります。
④ トレーニングの満足度が得にくい場合がある
全身法では、分割法のように特定の筋肉だけを集中的に鍛えることは少なく、全身をバランス良く刺激していく形になります。
そのため、強いパンプ感や「限界まで追い込んだ」という感覚を得にくい場合があります。
特に、特定部位を徹底的に鍛える分割法に慣れている中〜上級者では、物足りなく感じることもあります。
全身法が向いている人
全身法は、1回のトレーニングで全身を鍛えるトレーニング方法です。
少ないトレーニング頻度でも全身をバランス良く鍛えやすく、同じ基本種目を繰り返し行いやすいため、フォーム習得にも向いています。
そのため、初心者から中〜上級者まで幅広く活用されているトレーニング方法です。
特に、以下のような方に適しています。
全身法が向いている人
・ 筋トレ初心者
・ 忙しく、定期的にトレーニング時間を確保しにくい人
・ 筋肉への刺激頻度を増やしたい中〜上級者
・ 消費カロリーを高めながらダイエットしたい人
筋トレ初心者
筋トレ初心者にとって、まず重要なのは正しいフォームを身につけることです。
全身法は、トレーニングのたびに同じ種目を繰り返すことができるため、動作に慣れやすく、フォーム習得にも向いています。
また、毎回全身に刺激を与えられるため、初心者が基礎的な筋力を効率よく高めるのにも適しています。
特に、トレーニングを始めたばかりの初心者の場合、分割法のように特定の部位へ集中的に負荷をかけるトレーニングは、疲労や負担が強くなりすぎることがあります。
その点、全身法は負荷や種目数を調整しやすく、フォーム習得を優先しながら、少しずつ身体をトレーニングに慣らしていきやすい方法です。
忙しく、定期的にトレーニング時間を確保しにくい人
忙しくてトレーニング回数を確保しにくい方や、トレーニング日が不規則になりやすい方にも、全身法は適しています。
全身法では、1回のトレーニングで全身を鍛えられるため、週1〜2回程度の頻度でも全身へ刺激を与えることができます。
限られた頻度でも全身を鍛えやすいため、忙しい方でも継続しやすく、トレーニング習慣を維持しやすい方法です。
筋肉への刺激頻度を増やしたい中〜上級者
筋肉を成長させるためには、継続的に刺激を与えることが重要です。
全身法は、1回のトレーニングで複数の部位を鍛えられるため、各筋肉を繰り返し刺激しやすいという特徴があります。
そのため、筋肉への刺激頻度を高めながら、効率良く筋肥大を狙いたい中〜上級者にも適したトレーニング方法です。
特に中〜上級者では、筋肉の成長に必要なトレーニング量が増えるため、高頻度で刺激を与えやすい全身法が有効となる場合もあります。
また、停滞期の刺激変化として全身法を取り入れるケースもあります。
消費カロリーを高めながらダイエットしたい人
全身法は、一度に多くの筋肉を使うため、エネルギー消費量が高くなりやすいという特徴があります。
そのため、効率良くカロリーを消費しながら、体脂肪を減らしたい方にも適しています。
また、全身の筋肉をバランス良く鍛えられるため、筋肉量を維持しやすく、基礎代謝の低下を防ぎながらダイエットを進めやすいのもメリットです。
全身法と分割法の違い
| 項目 | 全身法 | 分割法 |
|---|---|---|
| 鍛え方 | 1回で全身を広く鍛える | 日ごとに部位を分けて鍛える |
| 特徴 | 頻度を高くしやすい | 1部位を集中的に鍛えやすい |
| 頻度 | 週2〜4回が多い | 週4〜6回が多い |
| 向いている人 | 初心者に特に向いている | 中級者〜上級者向け |
全身法を取り入れる際のコツ・注意点
全身法は、「毎回全身を刺激する」という性質上、種目選びや疲労管理が重要になります。
特に意識したいのは、「トレーニング量の配分」「種目の優先順位」「回復管理」の3つです。
全身法のメニューを組み立てる際には、以下のポイントを意識しましょう。
全身法を取り入れる際のコツ・注意点
① コンパウンド種目を軸にする
② 1回のトレーニングで完璧を目指さない
③ 種目を固定しすぎない
④ 種目のバランスを考慮する
⑤ トレーニング頻度を考慮する
⑥ 種目の順番を考慮する
① コンパウンド種目を軸にする
全身法では、1回のトレーニングで全身に刺激が入るようにメニューを作成します。
そのため、多くの筋肉を同時に動員できるコンパウンド種目を中心に組み立てていくと、効率よく全身を鍛えられます。
ただし、コンパウンド種目を使用する際には、主動筋だけでなく使用される共同筋を含めた複数の筋肉を理解しておく必要があります。
共同筋の刺激も含めて、全体のトレーニング量のバランスを調整する必要があります。
コンパウンド種目の代表例
| 種目 | 主に使用される部位 |
|---|---|
| スクワット | 大腿四頭筋・臀筋・ハムストリングス |
| ブルガリアンスクワット | 大腿四頭筋・臀筋・ハムストリングス |
| デッドリフト | 脊柱起立筋・臀筋・ハムストリングス |
| ルーマニアンデッドリフト | ハムストリングス・臀筋・脊柱起立筋 |
| 懸垂 / ラットプルダウン | 広背筋・上腕二頭筋・僧帽筋・大円筋・三角筋後部 |
| ベントオーバーロウ | 広背筋・僧帽筋・菱形筋・脊柱起立筋 |
| ベンチプレス / ダンベルプレス | 大胸筋・三角筋前部・上腕三頭筋 |
| ショルダープレス | 三角筋前~中部・上腕三頭筋 |
② 1回のトレーニングで完璧を目指さない
全身法で最も多い失敗の1つが、「1回のトレーニングに種目を詰め込み過ぎること」です。
特に、普段から分割法でトレーニングしている方が全身法へ切り替える場合は注意が必要です。
分割法では、1回のトレーニングで特定の筋肉に対して複数の種目を行い、多種の刺激を与えます。
そのため、特定部位を強く追い込むトレーニング構成になりやすい特徴があります。
分割法に慣れてしまうと、全身法に切り替えた時も1回のトレーニングで全身くまなく筋肉が疲弊するまで追い込み過ぎてしまうことがあります。
しかし、種目数を増やし過ぎるとトレーニング時間が長くなり、後半の集中力やトレーニングの質が低下しやすくなります。
また、疲労が蓄積しやすくなり、回復不足にもつながります。
全身法では、必ずしも1回ですべての部位を完璧に鍛える必要はありません。
1回のトレーニングでは全身を大まかに鍛え、複数回のトレーニングを通して全体のバランスを整えていくことを目指します。
「1回で完璧に仕上げる」よりも、「継続して質の高いトレーニングを行う」ことを意識しましょう。
無理に種目を詰め込むよりも、適切な頻度・回復・継続可能なボリュームを維持した方が、長期的に結果を出しやすくなります。
目安としては、4〜7種目程度、60〜90分程度に収めると管理しやすくなります。
初心者の場合はまず60分前後を目安にするといいでしょう。
例)5分割法 ⇒ 全身法への移行イメージ
分割法では、1回のトレーニングで特定の筋肉群を集中的に鍛えますが、全身法ではそのボリュームを複数日に分散して行うことになります。
例えば、5分割のブロスプリット法(Bro-Split)をベースに1週間1サイクルで行っていた方が全身法に切り替える場合、胸・肩・腕・背中・脚それぞれの日に行っていた種目やセットを細かく分配し、5日間に振り分けて再構成するイメージです。
つまり、『月曜にまとめて胸を追い込む』『火曜にまとめて背中を追い込む』という形から、『毎回のトレーニングで胸・背中・脚などを少しずつ行う』という形へ切り替えていくイメージになります。
5分割法から全身法への移行のイメージ図

同じく週5回トレーニングを行う場合、1週間単位で見れば、トータルの種目数やセット数は大きく変わらないケースがほとんどです。
もちろん、組み合わせによって日ごとのトレーニング時間には多少の増減がありますが、1週間全体で考えれば、全身法にしたからといって極端に時間が増えるわけではありません。
むしろ全身法では、連続する種目を異なる筋群で行うことができるというメリットがあります。
例えば、スクワット → ベンチプレス、懸垂 → レッグカールのように別の部位を交互に使うことで、局所的な疲労を分散しやすくなります。
その結果、同じ筋群の回復待ち時間を減らせるため、インターバル効率が良くなることで、トレーニング時間を短縮できる場合もあります。
逆に、全身法で時間が長くなりやすいのは、分割法で行っていた感覚を引きずってしまうケースです。
「追い込みが足りない気がする…」「もう少し種目を追加したい…」「ここも鍛えておきたい…」と欲張って種目数を増やしてしまうと、全身法本来のメリットを失いやすくなります。
先ほど述べたように、全身法は1回で全身を完璧に仕上げる方法ではありません。
1回のトレーニングでは大まかに全身へ刺激を与え、複数回のトレーニングを通じて鍛え残しやムラがないように全身を整えていく考え方です。
そのため、1回ごとの「追い込み切った感覚」にこだわりすぎず、適切な頻度・回復できる疲労量・継続可能なボリュームを維持することが重要になります。
また、筋肉の成長において、毎回限界まで追い込むことだけが必須というわけではありません。
近年では、筋肥大には「トレーニングボリューム(総負荷量)」や「トレーニング頻度」が重要であることが、多くの研究で示されています。
全身法では、1回の疲労を過度に増やしすぎず、高品質な刺激を高頻度で積み重ねていく意識が大切です。
トレーニングの長時間化を防ぐポイント
- コンパウンド種目(スクワット・ベンチプレス・デッドリフトなど)を中心にする
- 種目数を絞る(目安:4〜7種目程度)
- 1種目あたりのセット数を増やしすぎない(目安:3〜5セット程度)
- 時間を設定する(目安:60〜90分程度に収める)
③ 種目を固定しすぎない
全身法では毎回まったく同じ種目ばかりを固定しすぎないことも大切です。
同じ種目を繰り返し続けると、刺激が加わる筋肉や動作パターンに偏りが生じやすく、関節へのストレスも同じ部位に集中しやすくなります。
全身法は、複数回のトレーニングを経てバランスをとり、鍛え残しやムラがないように全身くまなく鍛えること目指します。
そのため、基本となる動作は維持しつつ、適度にバリエーションを取り入れると継続しやすくなります。
刺激に変化をつけながら全身をバランスよく鍛えやすくなります。
④ 種目のバランスを考慮する
全身法では種目の組み合わせによっては部位別の負荷の偏りが起こります。
種目の割合には、それぞれ自身の最適なバランスがあります。
・5分割法の胸・肩・腕・背中・脚を均等に5分割する割合
・PPL法のように押す・引く・脚で3分割する割合
・上半身・下半身のような2分割の割合
・特に強化したい部位がある場合 など
自身の最適なバランスで全身の筋肉を鍛えるために、割合を考慮して種目を振り分けるようにしましょう。
特にこだわりがない場合は、PPL(押す・引く・脚)でバランスをとる方法がおすすめです。
例
| 動作 | 種目 |
|---|---|
| Push | ベンチプレス・ショルダープレス・ディップス |
| Pull | デットリフト・ラットプルダウン・ベントオーバーローイング |
| Legs | スクワット・ルーマニアンデッドリフト・レッグプレス |
また、毎回同じ種目ばかり行うと、刺激が加わる筋肉に偏りが生じる上に、関節ストレスも偏りやすくなります。
そのため、適度に変化を入れると継続しやすくなります。
たとえば、ベンチプレス → ダンベルプレス、バックスクワット → フロントスクワットなど、バリエーションを持つといいでしょう。
⑤ トレーニング頻度を考慮する
全身法では、週に1〜2回しか行えない場合、コンパウンド種目を中心に、やや種目数を多めに設定してもいいでしょう。
ただし初心者の場合は、まず正しいフォームの習得と基礎的な筋力の向上が優先されます。
そのため、種目数は必要以上に増やさず、フォーム練習に十分な時間を確保すること、また自分のレベルに合った適切な負荷設定を心がけましょう。
週に3回以上行える場合は、頻度が増えるほど連日トレーニングすることも増えてきます。
過剰なトレーニングとならないように、種目数・セット数の最適化には気を付けましょう。
適切な種目数・セット数は各々により異なります。
個々の体力、年齢、熟練度、減量などによる栄養状態、健康状態など様々な条件を考慮して判断しましょう。
⑥ 種目の順番を考慮する
全身法は、種目の実施順序を工夫することでトレーニングの質を維持しやすくなります。
ただし、あまり順番にこだわりすぎると、トレーニングの進行に支障が生じる場合があります。
たとえば、ジムの混雑状況によっては、空いている場所から始めるというのが現実的なところとなるでしょう。
そのため、以下の考えはあくまで考えの一つとして捉え、状況によって柔軟に対応するようにしてください。
⑥-1. 連続して同じ部位を鍛えない
全身法のメリットの一つは、各種目を比較的フレッシュな状態で行えることです。
しかし、同じ筋肉を使う種目を連続して行うと、疲労した状態で次の種目を行うことになります。
そのため、同じ筋肉を鍛える種目は連続しないように組むと、トレーニングの質を維持しやすくなります。
胸・肩・腕・背中・脚のように部位ごとに分ける方法もありますが、全身法では多くの筋肉を動員するコンパウンド種目を多く取り入れる傾向があります。
そこでおすすめなのが、Push(押す)・Pull(引く)・Legs(脚)の動作ごとに分けて連続しないようにローテーションする方法です。
PPLで区分すると、多くの筋肉を使うコンパウンド種目を行っても、同じ筋肉への負担が連続しにくく、筋肉を休ませながらトレーニングを進めやすくなります。
具体的には以下のように分けられます。
・Push(押す動作)
主に使われる筋肉 : 胸・肩(前部、中部)・上腕三頭筋
代表的な種目 : ベンチプレス・ショルダープレス・フレンチプレス
・Pull(引く動作)
主に使われる筋肉 : 背中・肩(後部)・上腕二頭筋
代表的な種目 : デッドリフト・懸垂・ベントオーバーローイング・アームカール
・Legs(脚)
主に使われる筋肉 : 太もも・お尻・ふくらはぎ
代表的な種目 : スクワット・レッグプレス・レッグカール・カーフレイズ
なお、デッドリフトのようにPullとLegsの両方の要素を持つ種目もあります。
その場合は、デッドリフトを最初に行い、続く種目にPush系を行うと、負担が連続しにくくなります。
⑥-2. コンパウンド種目 ⇒ アイソレーション種目の順で行う
コンパウンド種目は、多くの筋肉を同時に使うトレーニングです。
一方、アイソレーション種目は、使用する筋肉を限定してピンポイントで鍛えることができます。
アイソレーション種目を先に行うと、先に疲労した部位がコンパウンド種目で先に限界を迎えてしまい、他の部位への刺激が不十分になりやすくなります。
そのため、まずはコンパウンド種目で多くの筋肉を刺激し、その後にアイソレーション種目で特定の筋肉へ集中的に負荷をかけることで、しっかりと筋肉を使うことができます。
例えば、ベンチプレスのようなコンパウンド種目の前にフレンチプレスなどのトライセプス系アイソレーション種目を行うと、上腕三頭筋が先に疲労してしまい、胸への刺激が不十分になる場合があります。
なお、同様の理由で腹筋も多くの種目で体幹として補助的に働くため、最後に回されることが多くなっています。
⑥-3. 高負荷(高重量)種目 ⇒ 低負荷(低重量)種目の順で行う
「高重量の種目から低重量の種目へ進めていく」という考え方もあります。
高重量の種目は、大きな筋肉や複数の筋肉を同時に使うコンパウンド種目が多く、体力や集中力を必要とします。
一方、低重量の種目は、特定の筋肉を集中的に鍛えるアイソレーション種目が多い傾向にあります。
そのため、体力や集中力があるうちに高重量の種目を行い、後半にアイソレーション種目で特定の筋肉へ集中的に負荷をかけていくのがおすすめです。
特にスクワットやデッドリフトなどの高重量種目は、フォーム維持にも集中力が必要となるため、トレーニング前半に行うと安全性も高めやすくなります。
⑥-4. 身体の中心(体幹部) ⇒ 末端の順で行う
腕(上腕・前腕)やふくらはぎなど末端の筋肉は多くの種目で補助的に使用されます。
先にこれらの筋肉を疲労させると、フォームが不安定になったり、全身を連動させた動作の質が低下したりする可能性があります。
そのため、まずは身体の中心に近い部位を優先して鍛え、その後に上腕・前腕・ふくらはぎなど末端の筋肉を鍛えていくのがおすすめです。
⑥-5. トレーニングの順番を完全に固定しない(時々鍛える部位の順番を変える)
全身法では、集中力の低下や疲労の蓄積により、トレーニング後半の種目では十分な強度を出しにくくなることがあります。
そのため、毎回同じ順番で行っていると、後半に回している部位への刺激が不足しやすくなります。
トレーニングの順番には、身体の中心(体幹部) ⇒ 末端(四肢)といった考え方があります。
これらの考えから、腕(上腕・前腕)やふくらはぎは後半に回されがちです。
常に順番を順守すると、トレーニングによる疲労により後半に回りやすい腕やふくらはぎの刺激量が不足しやすくなります。
そのため、ときには刺激が不足していると感じる部位や、自身の弱点部位を優先して行い、全体のバランスを取ることも重要です。
また、それらの筋肉を使う種目を多めに行う日を定期的に設けるのも効果的な方法です。
ここまでをまとめると、最初の種目は、体幹部に近い胸(Push)・背中(Pull)・大腿部(Legs)のコンパウンド種目から始めるのがおすすめです。
BIG3(ベンチプレス・スクワット・デッドリフト)を行う日であれば、それらを最初に行うといいでしょう。
続く種目では、PPLの分類で同じ区分が連続しないように選択することをおすすめします。
個々の状態やトレーニング頻度を加味して、適切な種目数とセット数を設定しましょう。
こうした種目の選択・順番・ボリュームの調整には、経験や感覚も必要となります。
全身法はシンプルに見えて、実は中〜上級者向けの要素も含まれているトレーニング方法といえます。
全身法のトレーニングメニュー例
全身法のメニューは、自分に合った種目の組み合わせで行うことが理想です。
しかし、「具体的な組み合わせ例も知りたい」という方向けに、トレーニング頻度ごとの全身法メニュー例を挙げていきます。
あくまでも一例ですので、ご自身に合わせてアレンジしてください。
週2回
週2回の場合でも、トレーニングは連日行わず、2〜3日の休養を挟めるスケジュールを前提としています。
例)月・木曜日トレーニング
十分な休養が取れるため、種目数は多めに設定し、コンパウンド種目を多めに取り入れています。
初心者は週2回から始め、徐々に慣れていくことをおすすめします。
(ただし、初心者はもう少し種目を減らして4~5種目程度から始めることをおすすめします。)
| 1回目 |
| ① バーベルスクワット(大腿四頭筋、臀筋、ハムストリングス) ② ベンチプレス(大胸筋、三角筋前部、上腕三頭筋) ③ 懸垂(広背筋、僧帽筋、三角筋後部、上腕二頭筋) ④ レッグカール(ハムストリングス) ⑤ ディップス(大胸筋下部、三角筋前部、上腕三頭筋) ⑥ ベントオーバーロウ(広背筋、僧帽筋) ⑦ サイドレイズ(三角筋中部) ⑧ クランチ(腹筋) |
| 2回目 |
| ① デッドリフト(背中全体、脊柱起立筋、臀筋、ハムストリングス) ② インクラインダンベルプレス(大胸筋上部、三角筋前部、上腕三頭筋) ③ レッグプレス(大腿四頭筋、臀筋、ハムストリングス) ④ インクラインダンベルカール(上腕二頭筋) ⑤ ショルダープレス(三角筋前~中部、上腕三頭筋) ⑥ カーフレイズ(下腿三頭筋) ⑦ ナローベンチプレス(上腕三頭筋、大胸筋、三角筋前部) ⑧ レッグレイズ(腹筋) |
※各種目3セットずつを目安に行う
以上のメニューを交互に繰り返すだけでも全身に刺激を与えることができますが、これをベースに定期的に変化を加えていくと、長期的にもバランスの取れた構成とすることができます。
【アレンジの一例】
・インクラインダンベルプレス(大胸筋上部) ⇒ ディップス(大胸筋下部)
・ベンチプレス(バーベル:高重量を扱いやすい) ⇒ ダンベルプレス(ダンベル:可動域を広く取りやすい)
・懸垂 ⇒ ラットプルダウン(懸垂が難しい場合)
週3回
前提条件として週3回の場合でもトレーニングを連日行わず、それぞれ間に1日以上の休養を取ることができるという前提で行います。
例)月・水・金曜日トレーニング
コンパウンド種目を多く取り入れつつ、アイソレート種目やマシンも活用して多くの刺激を与えていきましょう。
効率よく筋肉を刺激していきましょう。
| 1回目 |
| ① ベンチプレス(大胸筋、三角筋前部、上腕三頭筋) ② 懸垂(広背筋、僧帽筋、三角筋後部、上腕二頭筋) ③ レッグプレス(大腿四頭筋、臀筋、ハムストリングス) ④ サイドレイズ(三角筋中部) ⑤ シュラッグ(僧帽筋) ⑥ レッグカール(ハムストリングス) ⑦ クランチ(腹筋) |
| 2回目 |
| ① デッドリフト(広背筋、僧帽筋、脊柱起立筋、臀筋、ハムストリングス) ② ナローベンチプレス(上腕三頭筋、大胸筋、三角筋前部) ③ ブルガリアンスクワット(大腿四頭筋、臀筋、ハムストリングス) ④ プリチャーカール(上腕二頭筋) ⑤ ディップス(大胸筋下部、三角筋前部、上腕三頭筋) ⑥ レッグエクステンション(大腿四頭筋) ⑦ ロシアンツイスト(腹筋) |
| 3回目 |
| ① バーベルスクワット(大腿四頭筋、臀筋、ハムストリングス) ② インクラインダンベルプレス(大胸筋上部、三角筋前部、上腕三頭筋) ③ ベントオーバーロウ(広背筋、僧帽筋、上腕二頭筋) ④ カーフレイズ(下腿三頭筋) ⑤ ショルダープレス(三角筋前~中部、上腕三頭筋) ⑥ インクラインダンベルカール(上腕二頭筋) ⑦ レッグレイズ(腹筋) |
週4回
週4回の場合、最低でも1回は連日で行う日が出てきます。
疲労の蓄積には注意しましょう。
コンパウンド種目とアイソレート種目やマシンの種目をバランスを取りながら組み込んでいきましょう。
| 1回目 |
| ① バーベルスクワット(大腿四頭筋、臀筋、ハムストリングス) ② ショルダープレス(三角筋前~中部、上腕三頭筋) ③ ラットプルダウン(広背筋、僧帽筋、三角筋後部、上腕二頭筋) ④ レッグカール(ハムストリングス) ⑤ ダンベルキックバック(上腕三頭筋) ⑥ プリチャーカール(上腕二頭筋) ⑦ クランチ(腹筋) |
| 2回目 |
| ① デットリフト(広背筋、僧帽筋、脊柱起立筋、臀筋、ハムストリングス) ② インクラインダンベルプレス(大胸筋上部、三角筋前部、上腕三頭筋) ③ ブルガリアンスクワット(大腿四頭筋、臀筋、ハムストリングス) ④ ハンマーカール(上腕二頭筋長頭、上腕筋、前腕) ⑤ サイドレイズ(三角筋中部) ⑥ レッグエクステンション(大腿四頭筋) ⑦ ロシアンツイスト(腹筋) |
| 3回目 |
| ① バーベルスクワット(大腿四頭筋、臀筋、ハムストリングス) ② ベントオーバーロウ(広背筋、僧帽筋) ③ ナローベンチプレス(上腕三頭筋、大胸筋、三角筋前部) ④ カーフレイズ(下腿三頭筋) ⑤ インクラインダンベルカール(上腕二頭筋) ⑥ ディップス(大胸筋下部、三角筋前部、上腕三頭筋) ⑦ レッグレイズ(腹筋) |
| 4回目 |
| ① ベンチプレス(大胸筋、三角筋前部、上腕三頭筋) ② 懸垂(広背筋、僧帽筋、三角筋後部、上腕二頭筋) ③ ルーマニアンデッドリフト(臀筋、ハムストリングス) ④ ペッグフライ(大胸筋) ⑤ シーテットローイング(広背筋、僧帽筋) ⑥ レッグプレス(大腿四頭筋、臀筋、ハムストリングス) ⑦ ハンギングレッグレイズ(腹筋) |
週5回
コンパウンド種目とアイソレート種目やマシンの種目をバランスを取りながら組み込んでいきましょう。
週5回の場合、連日で行うことが多くなってきます。
疲労の蓄積には注意しましょう。
疲れを感じる際には、無理せず休息を入れるか種目数を減らすようにしましょう。
| 1回目 |
| ① バーベルスクワット(大腿四頭筋、臀筋、ハムストリングス) ② 懸垂(広背筋、僧帽筋、三角筋後部、上腕二頭筋、体幹) ③ インクラインダンベルプレス(大胸筋上部、三角筋前部、上腕三頭筋) ④ ルーマニアンデッドリフト(臀筋、ハムストリングス) ⑤ プリチャーカール(上腕二頭筋) ⑥ サイドレイズ(三角筋中部) ⑦ クランチ(腹筋) |
| 2回目 |
| ① ベンチプレス(大胸筋、三角筋前部、上腕三頭筋) ② ラットプルダウン(広背筋、僧帽筋、三角筋後部、上腕二頭筋) ③ レッグプレス(大腿四頭筋、臀筋、ハムストリングス) ④ ダンベルキックバック(上腕三頭筋) ⑤ ダンベルカール(上腕二頭筋) ⑥ レッグカール(ハムストリングス) ⑦ ロシアンツイスト(腹筋) |
| 3回目 |
| ① デットリフト(広背筋、僧帽筋、脊柱起立筋、臀筋、ハムストリングス) ② ダンベルフライ(大胸筋) ③ レッグエクステンション(大腿四頭筋) ④ インクラインダンベルカール(上腕二頭筋) ⑤ ディップス(大胸筋下部、三角筋前部、上腕三頭筋) ⑥ カーフレイズ(下腿三頭筋) ⑦ シットアップ(腹筋) |
| 4回目 |
| ① バーベルスクワット(大腿四頭筋、臀筋、ハムストリングス) ② ベントオーバーロウ(広背筋、僧帽筋) ③ インクラインダンベルプレス(大胸筋上部、三角筋前部、上腕三頭筋) ④ ルーマニアンデッドリフト(ハムストリングス、臀筋) ⑤ リアレイズ(僧帽筋、三角筋後部) ⑥ ナローベンチプレス(上腕三頭筋、大胸筋、三角筋前部) ⑦ レッグレイズ(腹筋) |
| 5回目 |
| ① ベンチプレス(大胸筋、三角筋前部、上腕三頭筋) ② ブルガリアンスクワット(大腿四頭筋、臀筋、ハムストリングス) ③ シーテットローイング(広背筋、僧帽筋) ④ ショルダープレス(三角筋前~中部、上腕三頭筋) ⑤ レッグカール(ハムストリングス) ⑥ ハンギングレッグレイズ(腹筋) |
まとめ
全身法は、「全身を1日で鍛えるのは大変そう」というイメージとは裏腹に、適切に行えば効率よく全身を鍛えられるトレーニング方法です。
特に、フォーム習得や基礎的な筋量の向上が必要な筋トレ初心者には大きなメリットがあります。
また、トレーニング頻度を確保しやすいことから、一部の中級者以上にも強く支持されることがあります。
全身法は、トレーニングメニューの調整がやや複雑となることがあります。
ただし、これらは全身法のメリットを最大限に生かすための条件であり、すべてが完全でないと全身法でのトレーニングが成立しないというわけではありません。
あまり神経質になりすぎず、ある程度の条件を満たしていれば許容してもいいと思います。
筋トレは楽しみながら行うことで長く続けることができます。
全身法と分割法のどちらか一方に固定せず、時期に合わせて使い分けたり、変化を加えたりするのも良い方法でしょう。
自分に合うトレーニング法は、体質や生活スタイル、性格によっても異なります。
全身法でトレーニング頻度を高めるのが合う人もいれば、分割法の管理しやすさが合う人もいます。
色々試しながら、自分にとって続けやすく、成果の出やすいスタイルを見つけていければいいのではないでしょうか。


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